男女問わず、肌悩みのトップに挙げられるのが過剰な皮脂分泌による毛穴の詰まり、黒ずみ。気になると何かせずにはいられなくなり、市販されている商品を試したことがあるという人もいるでしょう。そこで肌は改善されましたか?そもそも毛穴は、理論上くぼみと捉え、皮膚の一部として認識することからケアを始めることがあります。また遺伝や年齢、生活習慣など、長年培ってきた肌環境の影響を受けやすいため、一夜にして改善されることはほぼ皆無です。では何から取り組めばいいのか、毛穴と皮脂について徹底解説いたします。

毛穴から分泌される皮脂について

 表皮の内側にある真皮層から毛穴に開口する皮脂腺により、肌の表面に向かって分泌されていく顔の脂を皮脂と言います。分泌量は一日あたり1~2グラムで女性より男性の方が多く、冬より夏場の方が皮脂腺の動きは活発になります。

毛穴と向き合う

 皮脂の分泌量は季節や環境により変化がありますが、ホルモンの影響が大きいため完全に皮脂をなくしたり抑えたりすることはできません。つまり、毛穴からどのように皮脂が出てくる仕組みになっているのかなど、毛穴の特徴をよく理解した上でケアしていかなければならないのです。

毛穴は皮膚のくぼみと捉える

 素肌になると表面に目立つ毛穴、それは毛穴の汚れが原因になっていることもありますが、正しい洗顔がしっかりできていれば毛穴汚れは落ちます。それでも毛穴が目立ち、気になる場合は加齢や紫外線などで弾力を失った肌表面の毛穴がくぼんでくることによって、毛穴一つ一つに影ができ、毛穴自体も目立ってくる現象なのです。

毛穴の仕組み

 皮脂を分泌させる皮脂腺は脂腺とも呼ばれ、毛穴の中にあります。毛穴から排出された皮脂は汗腺の一つであるエクリン汗腺の汗と混ざることで皮脂膜になり、肌表面を滑らかにしたり保護してくれる効果があります。
つまり毛穴は、汗や皮脂と一緒に体内の老廃物を排出させたり外的刺激から皮膚を守る大事な役割をしているのです。

皮脂腺の確立

皮脂腺は皮脂を分泌させる役割をもっています。肌表面の潤いや保護に役立っているこの皮脂腺について隅々理解し、毛穴ケアに繋げていきましょう。

腺と言ってもタンクと捉えた方が明解

毛穴と同様に皮脂腺の数はとてもたくさん存在しています。そんな多数ある皮脂腺ですが、腺というより分泌される皮脂が溜まっていくタンクと考えるとわかりやすいでしょう。
そのタンクがいっぱいになると毛穴から皮脂が排出されるという仕組みです。

皮脂腺が出来るまでのプロセス

 あなたが皮脂量を気にしたのは何歳ごろからですか?皮脂のタンクである皮脂腺がどのようにできていったのか、その流れを理解しておきましょう。

●思春期から25歳まで成長
 皮脂腺の働きが活発化していくのは思春期から25歳ごろまでといわれています。この時期はホルモンの分泌が過剰になり、皮脂量が増えていきます。

●毛穴と付随して存在
皮脂の分泌が盛んになると肌表面に排出するため、出口を広げようとする働きが生まれます。皮脂腺はこの出口である毛穴と付随して存在しているので、皮脂量によっては毛穴トラブルを起こすこともあります。

●産毛でも剛毛でも皮脂腺を持っている
 皮脂腺は毛穴と繋がっていますが、その毛質に皮脂腺の有無は関係ありません。産毛でも剛毛でも毛包と一緒に存在しているのです。

皮脂腺が発達している部位

 皮脂腺の発達は部位によって違いがあります。

●頭皮の次に顔(顔には約20万個の皮脂腺)
毛穴から皮脂が分泌されることからわかるように、頭皮は皮脂が最も多い部位です。紫外線の影響も受けやすく皮脂腺が発達しやすい頭皮ですが、その次に皮脂の多さを感じるのは顔です。
なぜなら顔の毛穴の数は実は頭皮より多く、20万個あります。それだけ皮脂腺も多く存在しているのです。

●鼻の皮脂分泌が活発になる理由
 鼻は他の部位に比べ皮脂腺が多いため、毛穴から出る皮脂の分泌量は活発になります。また、乾燥が気にならない部位なので日頃のケアがおろそかになると肌内部が水分不足に陥ってしまい、皮脂が潤いを保とうとする働きから、過剰に皮脂を分泌してしまうこともあります。

皮脂の作られ方

 毛穴と皮脂腺が繋がっており皮脂の分泌がおこる仕組みは理解できたと思います。次は皮脂がどのように作られるかを学んでいきましょう。

皮脂腺細胞をしっかりイメージ

 皮脂腺に存在する皮脂腺細胞が皮脂と合わさり、ため込まれた後に放出するという流れが、皮脂を作り出すサイクルです。

皮脂の合成・貯蔵・破壊まで

 皮脂腺細胞が合成、貯蔵、破壊を繰り返すことで皮脂は毛穴から肌表面にどんどん分泌されていきます。この働きが皮脂膜を作り、水分蒸発を防ぐことで乾燥から肌を守り、潤いを与える役割を担っています。

皮脂量は男性ホルモンで決まる

 男性ホルモンには皮脂腺を発達させる働きがあります。皮脂や毛穴ケアを考える上でも男性ホルモンの分泌について知っておいてください。

●男性ホルモン量の多少は遺伝
 男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌傾向の大半は遺伝によって決まります。10代から20代に分泌のピークがおこり、徐々に減少していくのですが、その減少傾向も遺伝の影響が大きいと考えられます。

●プロゲステロンも影響
 逆に女性ホルモンの一種であるエストロゲンは皮脂を抑える働きがありますが、同じく女性ホルモンであるプロゲステロンの働きは皮脂の分泌を盛んにすることもあります。生理前に吹き出物が出やすかったりテカリを感じやすいなどの原因は、このプロゲステロンが影響しています。

皮脂の基本成分

皮脂と一言で言ってもその成分は様々です。基本的な成分を知っておきましょう。

●トリグリセリド(中性脂肪)
 3つの脂肪酸とグリセロールという物質の結びつきからできる中性脂肪は、別名「トリグリセリド」と呼ばれています。

●ワックスエステル
 ワックスエステルはホホバオイルに含まれている美容成分の一種ですが、もともと人がもっている肌成分で、人の皮脂の主成分です。

●スクワレン
 不飽和脂肪酸の一種であるスクワレンは、サメの肝臓から採取できる肝油に多く含まれています。

●コレステロールエステル
 コレステロールにパルミチン酸やステアリン酸、オレイン酸などが結合した化合物です。

●その他
 皮脂にはその他、ナトリウムやカリウム、カルシウムといった無機塩類にあたるもの、そしてアミノ酸類や乳酸、尿素糖にあたる素要請有機物が含まれています。

表皮の皮脂や常在菌との関係

 顔表面の皮膚である表皮には菌が存在します。お肌にとって良いことも悪いことも及ぼす常在菌と皮脂の関りを知って、皮脂ケアに活かしていきましょう。

成分構造の変化

 皮膚の常在菌が皮脂を分解すると、皮脂の成分構造は変化していきます。

●遊離脂肪酸
 トリグリセリドが細菌性リパーゼという脂肪分解酵素によって分解され、グリセリンと結合しなくなった脂肪酸のことを言います。

●脂肪酸と不飽和脂肪酸
 脂肪酸は固体で酸化されにくい「飽和脂肪酸」と液体で酸化されやすい「不飽和脂肪酸」の2種類に分かれています。

常在菌とは

 常在菌は肌表面に常に存在しています。菌といっても悪いことばかりではありません。肌トラブルを起こしてしまう悪玉菌やニキビをつくるアクネ菌も存在しますが、皮膚に潤いを与えてくれたり外部刺激から肌を守る善玉菌もあります。
 これらの常在菌のバランスを正常に保つことが肌環境を整えるカギとなるのです。

毛穴の悩みを解明するために

 毛穴の悩みをクリアにしケアをするために、まずはトラブルの元になる毛穴の仕組みを学んでいきましょう。

毛穴の開き

毛穴が開く主な原因は過剰な皮脂の分泌です。皮脂腺が発達し皮脂量が過剰になると皮脂の出口である毛穴が丸く開き目立ってしまうのです。

毛穴の詰まり

 皮脂腺が多い鼻や口周り、TゾーンやUゾーンは皮脂の分泌が過剰になりやすく毛穴詰まりを引き起こしやすい場所です。皮脂量が増えたり加齢による肌のたるみで開いた毛穴に皮脂や角質、落とし切れなかった汚れが混ざり、詰まってしまいます。

角質と角栓の違い

 肌細胞はターンオーバーを繰り返し肌の奥から表面まで少しずつ押し上げられていきます。そして角質層まで達するとその細胞は剥がれ落ち、垢のように死んだ細胞となります。これが角質です。
 角栓は毛穴の中で古くなった角質が皮脂と混ざりあったものを言います。角栓は外部からの雑菌が毛穴に入り込むのを防ぐ役割をしており、肌に必要なものです。

毛穴はもともと黒い?汚れていない?

 顔の毛穴が目立って鏡で見てみると、黒くなっていて気になってしまうことありますよね?毛穴の黒ずみを汚れだと認識し、念入りに洗顔を繰り返していても変化を感じないとき・・・それは、汚れによる黒さじゃないかもしれませんよ。

毛穴だから暗くて黒く見えるという説

 皮脂腺が多い顔の毛穴から皮脂は常に分泌されており、完全になくすことはできません。毛穴が黒く見えるのはこのたくさんある皮脂腺により凹みがある毛穴の影なので、黒ずみのように暗く見えてしまうことがあるのです。

汚れではなく皮脂の詰まりという説

 本来、毛穴の中で古くなった角質が皮脂と混ざりあった角栓は自然に浮き出ていきますが、肌のターンオーバーが乱れてしまうと、古い角質が角質層に押し上げられる流れも停滞してしまうので毛穴が詰まってしまいます。皮脂分泌が多い人は毛穴詰まりも目立ち、黒く見えてしまいます。

皮脂と角質のコントロールがケアの鍵

 皮脂による肌トラブルを引き起こさないためにはターンオーバーを安定させ、皮脂と角質をため込む前に除去させるようコントロールすることが大切です。

●皮脂量の調整
 毛穴が目立つ人は皮脂の量が多く分泌しやすい傾向にあるため、皮脂量を上手に調整し、抑えることで毛穴トラブルを防ぐことができるのです。
 過剰な皮脂を取り除き、保湿でキメを整えることが大切ですが、洗顔のし過ぎは毛穴にとって刺激になり、皮脂の分泌をかえって過剰にしてしまうこともあるので注意が必要です。

●角質の状態を整える
 きちんと洗顔していても毛穴の開きや詰まりが気になる場合は、ターンオーバーの乱れを改善する必要があります。水分量をたっぷり与えられる化粧水をしっかり浸透させ、保湿を行い、睡眠をしっかりとりましょう。
 皮脂の分泌量が気になると保湿をおろそかにしがちですが、肌のターンオーバーをサポートするのに保湿は欠かせません。

ホームケア

 皮脂による毛穴の広がりを抑えるには、正しい洗顔や自宅ケアを毎日の習慣にすることが大切です。

●洗顔料の選び方

 「毛穴の黒ずみ」や「角栓ケア」に効果が強いとアピールされた洗顔料がたくさん発売されていますが、実際には洗浄力が強すぎてしまい肌にとってダメージになってしまったり、毛穴の広がりを発生してしまうこともあります。
 毛穴が目立つということは、毛穴が傷んでいる状態になっていますので、低刺激で洗い上がりのつっぱりを感じにくい洗顔料を選びましょう。

●保湿の仕方

 洗顔で優しく毛穴汚れを落とした後は化粧水で水分をたっぷり浸透させます。皮脂量が気になるオイリー肌の人は収れん化粧水をコットンにとり、念入りにパッティングしましょう。
 そしてオイリー肌の人ほど乳液のべたつきを嫌う場合がありますが、肌内部の水分と油分のバランスを整える乳液は毛穴ケアに欠かせません。その後蓋をするようにクリームで保護すると、乾燥と皮脂のバランスが整い、毛穴トラブルを回避してくれるでしょう。

美容皮膚科での施術

 皮脂の過剰な分泌が毛穴トラブルを招く主な原因となっていますが、正しいホームケアを心がけていても毛穴の黒ずみや角栓が気になる場合は加齢による肌のたるみやハリ不足が毛穴を目立たせてしまっているせいかもしれません。
 美容皮膚科では肌を引き締めてくれるピーリングや毛穴の凹凸をなくす最先端のレーザー治療が導入されています。肌の根本から毛穴トラブルを改善したい場合や他にも気になる部分があるなら、専門医に相談し施術してもらうのも良いでしょう。

まとめ

 洗顔や保湿で角質層を整え、皮脂量がコントロール出来れば、毛穴の広がりや詰まりを抑え美肌にとって必要な皮脂を適度に分泌させることが出来ます。毎日の正しいケアを続けることで毛穴トラブルを改善することが可能なので、参考にしてみてくださいね。

ライタープロフィール
加恵

10年のアパレル勤務を経て美容ライターに。年齢や体の変化と上手に付き合えるヘルシーな美容法を発信していきます。コスメを手作りすること、香りコスメを集めることが大好き。日常に取り入れやすいシンプルケアにトレンドを取り入れながら日々、美を追求し続けています。