女性を悩ませるおでこのしわ。ケアを色々と試してきた方もたくさんいらっしゃるでしょう。しかし、化粧水や美容液のような化粧品で出来るケアには限界があります。
乾燥によって出来たしわは、保湿によって改善されることがありますが、表情や生活習慣によるしわがクセとなり、深く刻まれたしわは自宅ケアでは対処が難しいと言われています。

そこで美容外科などで「治療」を受けることにより解消できる場合があります。顔に針やメスを入れるのではないか、副作用が出る治療法なのではないかと心配になる方もいらっしゃいますよね。いまさら聞けない、でも知りたい、美容外科で受けられるしわ治療とはどんなものなのか、主な治療法を以下にまとめました。

美容外科でのおでこのしわ対策

コラーゲン注入

しわに悩む人に限らず、女性なら「コラーゲン」は、すっかりおなじみの言葉ですよね?
その特徴について再確認しましょう。コラーゲンは私たちの身体を構成するたんぱく質の一種で、約40%が皮膚に存在し、真皮層の約70%をコラーゲンが占めます。年齢を重ねると、お肌がうるおいを失って乾燥しがちになり、表面にしわが出来るのはこの生成量が減り、肌が弾力を失ってしまうのが原因の1つです。

「コラーゲン入り」を謳った化粧水や美容液も数多く販売されていますが、分子のサイズが大きいため、表皮の奥に浸透することはありません。研究により、低分子コラーゲンも作られるようになってきてはいますが、肌は基本的に外からの異物の侵入を防ぐバリア機能を持っていますので、やはり化粧品によって真皮のコラーゲンに直接はたらきかけるのは、難しいと言わざるを得ません。

美容クリニックで行われるコラーゲン治療は、しわが出来て凹んでしまった皮膚の内部に、コラーゲンを直接注入し、盛り上げることによって目立たなくする方法です。施術は10分程度で済み、通常整形手術を行った際に必要とされるようなダウンタイムはほとんどありません(個人差があります)。麻酔クリームを使用し、痛みを最小限に抑える方法が一般的です。

注入するコラーゲンは、牛や豚などの動物由来のものと、ヒト由来のものとの2種類があります。動物由来のコラーゲンは、アレルギー反応を起こす危険性を考え、事前に皮下テストが必要ですが、ヒト由来であれば、テストは不要です。

コラーゲン注入は、しわが目立たなくなり、仕上がりも自然で、周りの人から気付かれにくく、お肌の若返り効果も注目されているようです。 一方で、もともと人の身体が持っている組織なので、時間の経過とともに吸収されてしまいます。コラーゲン注入によるしわの改善は、2~3か月から半年程度。個人差があるため、人によっては「せっかくお金を出してコラーゲン治療を受けたのに、すぐにしわが戻ってしまった」と感じる場合もあるようです。効果を持続させるためには、定期的に注入を行う必要があります。

料金は、使うコラーゲンの種類や量と、しわを消したい顔の部位によって様々ですが、1回1万円程度のものから、何回かをセットにして10万円ほどのコースを設定しているクリニックもあります。

最初のカウンセリングでしっかりと自分の意思を伝え、医師に相談の上、納得のいくものを選んでください。

ヒアルロン酸注入

 よく耳にするようになったヒアルロン酸も、コラーゲン同様、私たちの身体がもともと持っている物質の1つです。真皮のコラーゲンやエラスチン、線維芽細胞の間を、水分を抱えながら満たしているゼリー状の基質がヒアルロン酸です。顔になじませれば保水効果は期待できますが、真皮まで浸透して働きかけることまでは出来ません。また、ドリンクやサプリメントなどで摂取しても、胃腸で分解されれば、真皮まで到達する保証はないのです。

コラーゲン同様、年齢とともにヒアルロン酸も減少してしまいます。若いときはもっちりとしてしわのない肌だったのに、年齢と共にしわが目立つのは、ヒアルロン酸の減少による肌の保水力が低くなったことが原因の1つです。

美容皮膚科では「ヒアルロン酸注入」という治療法があります。コラーゲンと違い、ヒアルロン酸はたんぱく質ではないので、アレルギーを起こしにくいと言われています。持続期間は数か月から半年が一般的なようです。

もともと身体にある物質であるため、「必ず吸収されてしまう」という点は頭に入れておかなくてはなりません。おでこの深いしわを目立たなくしてくれる効果は期待出来ますが、持続させたければ定期的に注入する必要があります。

料金は数千円から5万円以上のものまで、価格設定は様々です。切らずに直すしわ治療としては、手軽に出来るのが魅力ですが、やはり顔の皮膚に異物を挿入するという治療であることは事実です。決める場合は、料金だけでなく、信頼できる施術者かどうか、よく見極めて選ぶようにしましょう。

ボツリヌストキシン注入

おでこにしわが出来てしまう原因は、老化によって衰えた筋肉が縮んでしまい、皮膚の動きによって引きつれが生じるという現象が考えられます。その筋肉にはたらきかけ、収縮を弱めることで、しわが出来ないようにしよう、というアプローチが、ボツリヌストキシン治療です。

ボツリヌストキシンとは、ボツリヌス菌から抽出したたんぱく質の一種です。つまり、ボツリヌス菌の毒素をごく弱く薄めたものです。これを皮膚に注入し、神経と筋肉の間をブロックすることで、筋肉の収縮を抑制します。表情じわに効果があるとされ、おでこのしわにも効果は十分期待出来ます。

よく耳にする「ボトックス」とは、アメリカのアラガン社が製造しているボツリヌストキシンの商品名です。しわ治療薬として最初に認可を受けたこともあり、安全性が高いとして広く使われていますが、他のメーカーが販売しているボツリヌストキシンもあります。料金にかなり違いがある場合も見られますが、ボツリヌストキシンのブランドよりも、施術する医師の技術による効果の差が大きいようです。

おでこにしわが出来たと悩んでいる人は、ボツリヌストキシンの注入治療を早く始めることで、真皮にくっきりと深いしわが刻まれてしまうのを防ぐという作用もあるようです。「早めに始めることを検討してほしい」と主張する専門医もいます。

ただ、表情筋を動かなくするための治療なので、誤った部位に注入してしまうと、そこの筋肉が固定化され、数か月不自然な表情になってしまうこともあります。ある程度の微修正もできる腕の確かな医師を選ぶのが一番なのですが、未熟な施術者もいます。失敗した場合、やり直しはあまり効かない場合もある治療法とも言えます。

PRP療法

PRP療法とは、自分の血小板血漿を取り出して遠心分離器にかけ、自分に注入するというものです。1990年代にアメリカのマイアミ大学で外科チームが始めました。血小板の注入が、傷の治療に効果があるとして注目を集めましたが、肌のコラーゲンやヒアルロン酸の再生にも役立つ治療法として、美容の分野へも応用されたものです。日本では、2006年からしわ治療に実用化されています。

血小板とは、身体が傷ついたときに反応して、血管や肌を修復させるはたらきを持つ組織です。これは、血小板に含まれる成長因子によって行われるものです。その成長因子を、年齢でダメージを受けた肌に応用することで、肌の再生をはかろうという治療が、PRP療法なのです。この「自分の組織を使う」方法は、再生治療と言われ、美容分野に限らず、様々な分野の医療に使われるようになってきました。今後も発展を期待出来る治療法になりそうです。

施術にかかる時間は60分程度です。血液を採取し、それを遠心分離器で分離し、しわの部分に注入します。ダウンタイムもほとんどないと言われていますが、施術後の過ごし方は無理をしないようにしましょう。

この施術のメリットは、自分の組織を使用するため、アレルギーなどの異物に対する拒否反応の心配が少ないということです。副作用を気にする方向きと言えます。

効果が出るのは約1~2か月後なので、しわの修復が自然で、周囲に治療を気づかれにくいのもメリットのひとつでしょう。ただし、表情筋による額のしわを防ぐ治療ではないので、ボツリヌストキシンとの併用をする人も多いようです。効果のあらわれ方が自然な分、即効性はないとも言えます。これをメリットと取るかデメリットと取るかは、人によって意見が分かれるところでしょう。

1回の治療で、1~2年は効果を持続させることが出来ると言われています。おでこや他の部分にしわのない状態を維持したければ、継続的な治療をする必要があります。

注入治療のデメリット

コラーゲンなどを注入することによって、しわ取りの治療が出来ることを謳った美容クリニックのサイトを見ると、「安全性が高い」「副作用は非常にまれ」と書かれたものが多く見られます。一方で、美容外科の治療でミスが起こった、副作用が出た等のニュースを耳にすることがあるのも事実です。

施術者の技術が未熟なために起こる場合もありますが、治療を受けようとする患者も、医師から十分に説明を受けて、技術の高い医師に施術してもらうようにしましょう。
そういった「万一」のミスも併せて、注入治療のデメリットを以下に挙げます。深いしわの対処に、美容クリニックでの治療を考えている方は、参考にして下さい。

①費用が高額

美容分野は、「治療」と称していても病気の治療とは異なります。そのため、保険が適用されず、費用が高額になってしまうのが大きなデメリットと言えます。価格設定は様々ですが、数千円で治療できるクリニックから数十万円という高額な費用をサイトに載せているクリニックも多いです。予算とともに医師の技術なども併せてクリニック選びをすることがポイントです。

主導権は自分にある、としっかり認識して、費用に納得できない場合は毅然と断って帰る潔さも必要です。

②しこりが残るなどの副作用

コラーゲンやヒアルロン酸のしわ治療で時々聞かれるのが、「肌の表面がでこぼこしてしまった」「触ると異物感がある」などのトラブルです。経験が浅く、腕の未熟な医師が担当した場合、こうした施術ミスも起こるようです。

誤って入れた物質を取り除くことでリカバリー出来るケースもありますが、血管に挿入してしまい、血行を阻害して皮膚が壊死してしまった、などの治療不可能な場合もあります。既に書きましたが、ボツリヌストキシンの注入も、間違った部位にしてしまうと、効果が弱まるまでの数か月間、元通りにするのは非常に難しいです。

クリニックを選ぶ際は、医師の経歴をよく確認し、施術数が多い、経験豊かなドクターを選ぶようにしましょう。また、カウンセリングでドクターの人となりを観察して、信頼できるかどうかチェックすることも大切です。

③仕上がりが不自然

 おでこのしわを消すことが出来た!と本人が満足したとしても、周りから見ると、どうも不自然な仕上がりになってしまっているケースもあります。

確かに、おでこに深いしわがあることは、女性にとってはあまり好ましい状態とは言えませんが、経年劣化はある程度止むを得ません。顔と身体は全体で揃ってバランスを取っているものです。おでこのしわが目立たなくなっても、その一部だけでなく、別の部分に影響が出る可能性も十分考えられます。おでこだけしわがなかったりしたら、不自然ですよね。

それでもいい、と考えて、おでこの深いしわを消す治療を選択するのは、もちろんアリです。ただ、施術後に後悔しないよう、自然な仕上がりを目指して治療してくれる医師の元で、よく考えてから選択することをおすすめします。

まとめ

 おでこの深いしわに悩む女性にも、美容外科でしわを目立たなくさせる治療が選択出来る時代になりました。しかしながら効果には個人差があり、副作用によるトラブルに見舞われることもあります。注入治療でしわ取りをお考えの方は、リスクについてよく調べ、カウンセリングをしっかり受け、さらにお財布事情に無理をしないように納得して臨んで下さいね。笑顔でのびのびと生活するために、後悔しない選択をしましょう。

ライタープロフィール
川本 あきこ

放送作家・美容ライター。ロンドンの美容専門学校にてスキンケアアドバイザー、メイクの資格を取得。雑誌、書籍の編集、執筆の傍ら美容専門家としてライター、講師を務める。