かかと角質ケアは、つるんとなめらかな状態を維持するための美容目的として取り入れている女性が多いのではないでしょうか。その背景に、ネイルサロンでのフットケア体験が大きく影響していることが考えられます。プロと同じアイテムを使って、プロが施術したような仕上がりを常に実感したいと、手軽に入手で出来るのがかかとやすりです。しかし、使い方や使う頻度を間違えると、角質を取り過ぎて歩行に影響を及ぼすことがあるって知っていますか?かかとの角質はなぜ厚いのか、そこには健康に関わる大事な意味があります。歩くと足の裏が痛い、そう感じたら角質が薄くなっている証。やすりの使い方のコツをマスターし、美しいかかとと快適な歩きを目指しましょう。

足の裏は健康にとって重要な存在

足の裏の皮膚が固い、ガサガサして気になる…そんな方も多いと思います。

足の裏の負担

当たり前なのですが、立っている時や歩いている時、足の裏の皮膚には全身の体重がかかっています。バランスよく足裏全体に体重の負担がかかっているのなら問題ないのですが、姿勢が悪かったり歩き方が悪かったりすると足の裏の一部にだけ負担がかかり、その部分だけ皮膚の外部刺激が多くなってしまいます。すると皮膚はこの外部刺激を何とかしようとして皮膚表面のバリア機能を担う角質細胞の層を厚くします。

角質細胞の層が分厚くなるメカニズムは本来剥がれ落ちなければいけない古い角質細胞を残したまま新たな角質細胞が重なってしまうというもの。そしてこの古い角質細胞の層の隙間には正常な角質細胞の間にある細胞間脂質が不足しやすく、すぐに水分の保てない乾燥した皮膚ができてしまいます。

姿勢が悪い・歩き方が悪いなどで足の裏の一部に負担が集中する事は足の裏の皮膚の角質化を進める原因に。普段から姿勢・歩き方に気をつけ、一部だけに重心を置かない工夫が必要です。

3点を結ぶアーチ

親指の付け根にある母趾球(ぼしきゅう)・小指の付け根にある小趾球(しょうしきゅう)・かかとの3点を結ぶ線をアーチと呼んでいます。母趾球-かかとを結ぶアーチは「内側の縦アーチ」、母趾球-小趾球を結ぶアーチは「横アーチ」、小趾球-かかとを結ぶアーチは「外側の縦アーチ」と呼ばれており、それぞれのアーチがお皿をひっくり返した時のように程よく弧を描いているのが理想の形です。

引用元: 距骨調整なび

このような理想のアーチができている、という事は土踏まず以外の足裏全体を使って立ったり歩いたりできているという事です。逆に理想のアーチができていない場合はどこか一部に全身の体重がかかっている、という事。その体重がかかっている一部の皮膚が角化しやすくなってしまいます。

角質が硬くなりやすい部分

角質が硬くなりやすい部分は姿勢によって異なります。O脚、がに股の方は小指の付け根にある小趾球が硬くなりやすい傾向にあります。履き物が合わず足の指を圧迫していると外反母趾(がいはんぼし)になり、親指の付け根にある母趾球周辺が硬くなりやすい傾向が出ます。

かかとの角質は分厚くてもよい?

上記のように硬くなりやすい足の裏の皮膚ですが、本来ある程度の硬さや分厚さがあるのが普通です。これは足の裏の皮膚に全身の重さがかかる為。元々皮膚に摩擦刺激や負荷がかかるのが普通なので足の裏の皮膚は厚くできています。じゃあ分厚すぎる、硬すぎる皮膚はどのラインから?足の裏の皮膚の理想を見ていきましょう。

理想の状態

足の裏の皮膚の理想の皮膚の厚みは表皮+真皮で2~3mmほど。かかとは足の裏の皮膚でも分厚い部分なので最大表皮+真皮で5mm程度までは理想の範囲。それ以上になってくると古い角質がたまっている可能大です。また、指で触ってみて引っかかりがある、白い筋が見える、皮膚にひび割れがあるという場合も角質が溜まり過ぎています。

ターンオーバーは約4か月周期!?→足の裏の皮膚は角質層が70~100層、顔の10倍

腕の角質層の数が10~15層、顔の角質層の数が8~10層なのに対して足の裏の角質層が70~100層もあります。角質層の数が多ければ多いほどターンオーバーによる角質層の入れ替わりが遅くなってしまいます。つまり足の裏の皮膚は元々入れ替わりの遅い部分。元々角質層の入れ替わりが遅いのに手入れ不足で更に角質層の入れ替わりが遅くなってしまうと古い角質層ばかりが残ってしまい、皮膚が乾燥し、ガサガサになりやすくなってしまいます。

バリア機能が不安定?

足の裏は角質層の数が多く細菌の侵入や外部刺激、摩擦刺激には強くできています。しかし、乾燥のしすぎで皮膚がひび割れたり、古い角質層が残ったままになり角質層が分厚くなって細胞間脂質が角質層全体にいきわたらなくなると細菌の侵入や外部刺激、摩擦刺激を防ぎきれなくなってしまいます。
変な歩き方や立っている時の姿勢が悪いなど、ちょっとした事で足の裏の皮膚が分厚くなり、そこからひび割れができたり古い角質が溜まり過ぎたりして皮膚のバリア機能が落ちては大変です。足の裏の皮膚は分厚くなりやすく、分厚くなる事によって皮膚が乾燥しバリア機能がおちる可能性がある、という事を覚えておきましょう。

乾燥しやすくツヤが感じられない理由

かかとの皮膚は分厚いだけではなく他の皮膚との構造的な違いがあります。この違いがかかとがガサガサになる一因を担っていたりします。かかとの皮膚の構造を見てみましょう。

 3-1 かかとには皮脂腺がない
まず、かかとには水分蒸発を防ぐ役割のある皮脂を出す皮脂腺がありません。この為、他の肌より水分の蒸発を防ぐ事ができない場合が多く乾燥しがちです。しかも角質部分が乾燥してしまうと皮膚の奥にある基底層が角質がダメージを受けたと勘違いしてしまい、角質を補助しようと皮膚の奥で新たな角質細胞となる基底細胞をあわてて生み出し、ターンオーバーの周期を乱れさせてしまいます。
このターンオーバーの乱れによって更にかかとの皮膚表面に角質が溜まり、かかとの皮膚が硬くなる原因となってしまいます。

歩く・立つなど全体重の負担

今までも説明しているようにかかとは全身の体重をささえる部位です。この摩擦刺激や重さによる刺激は他の部位の比ではありません。この刺激がかかとの皮膚が弱っている状態の時にくれば多いにかかとの皮膚を傷つけ、硬くさせてしまいます。

履き物による摩擦と細菌の影響

サンダルをはいた時やストッキングでパンプスやミュールをはいた時などかかとは履き物でも大きな摩擦を受けます。クッション性のない靴下やストッキング、合わない履き物を履いた時などは特に足の裏の皮膚に負担をかけてしまいます。素足で履き物を履く時はワセリンを塗っておく、履き物は足に合うサイズのものを買うなどの工夫をしましょう。

また、ガサガサ・ひび割れしたかかとは細菌の影響もうけます。ガサガサ・ひび割れしたかかとは皮膚のバリア機能が落ちており外部からの細菌の侵入を防ぐ事ができません。そんな中湿気が溜まりやすく細菌の発生しやすい靴に足を入れたままにするとかかとに細菌が感染してしまいます。皮膚が変色している、ひび割れが激しい、かゆみがあるという場合はかかとに細菌が感染している可能性があります。細菌が感染しているガサガサなかかとは自宅だけで改善できません。皮膚科を受診してみましょう。

不要か必要かを見極めよう

かかとの角質をピーリングしてとる、これはかかとのケアにもなりますが必要以上に行うと上記のような重要な役目を果たすかかとの皮膚を傷つけてしまいます。ピーリングを行う必要があるかどうかきちんと見極めましょう。

角質の取り過ぎに要注意

ピーリングは角質をこすり落とす作業です。こすり過ぎたり、高頻度でピーリングを行うと角質を摂り過ぎ、全身の体重の負荷を支えきれなくなったり、外部刺激に負けてしまったりしてしまいます。ピーリングを行う時はちょっとツルツルになる程度までに留める・物理的に角質をけずる場合の頻度は最低でも2週間おきにするなど角質をとり過ぎないよう意識しましょう。

痛みや赤みは危険

ピーリングをする際、痛みがある、皮膚が赤くなるまでけずるという事は危険です。これは明らかに角質の削りすぎです。また、ひび割れて少し剥けている皮膚などを手で引っ張るのも危険です。ひび割れた皮膚やすこし剥けている皮膚を無理矢理手で剥がすとまだ必要な角質細胞や角質細胞以外の生きている細胞をも引っ張ってしまい皮膚にとって大きな負担となります。気になる部位は気になる部分だけやすりなどで削りとるかハサミで飛び出ている部分だけ切り取るようにしましょう。

その他にも皮膚がひどく荒れている場合は皮膚科で病気ではないか診断してもらい病気でない事を確認し、専門の人に任せる・保湿クリームを使うなどの対処をとりましょう。

フット用のやすりを上手に取り入れよう

かかとの皮膚を削る際には家であるもので代用・手や爪でこする、のではなくフット用のやすりを使うようにしましょう。

やすりの種類

フット用のやすりは手動と電動のものがあります。
手動のやすりは基本クシのような持ち手がついた商品がほとんどです。ただやすりの部分の素材が商品によって違うので自分にあったものを選んでください。やすり部分の素材としてはステンレス・耐水ペーパー状ヤスリ・セラミック・特殊ガラスなどがあります。

電動式のやすりは手動のやすりより簡単に角質を削り取る事ができます。水濡れ負荷でお風呂での使用が難しいものもありますが、手軽にピーリングをしたい、という方にはおすすめです。
ちなみに軽石でもピーリングを行う事ができますが、軽石は細かく隙間が空いた石でその隙間に雑菌が落とした角質と一緒に入りこみ、角質をエサにして雑菌が繁殖してしまう場合があります。衛生面からピーリングに軽石を使うのは避けた方が無難です。

他のやすりを使う時も使った後はやすり部分についた角質を洗い流し雑菌がわかないようにしましょう。

やすりは乾いたまま?それとも濡らしてから?

基本的にやすりを使う時はやすり自身を濡らさずに使います。ただ商品に濡らしてから使ってください、と記載している場合は濡らしてから使ってください。

乾いた足に?それとも濡れた足?

これは微妙なところですが、お風呂やフットバスでかかとの皮膚を柔らかくした後、タオルで水気を軽く拭き取ってからやすりをかける事をおすすめします。濡れたまま、ガサガサの乾いたまま、という状態でやすりをかけないようにしてください。

フット用やすりの効果を高めよう

フット用やすりを上手く活用するためには以下のポイントに気をつけてみてください。このポイントを守るだけでもピーリングによる皮膚へのダメージを大きく防ぐ事ができます。

ていねいな洗浄で清潔に

フット用やすりを使った後は必ず角質を洗い落とし清潔にしておきましょう。角質は油とタンパク質の塊であり、放っておくと良い雑菌のエサになってしまいます。雑菌まみれのやすりで皮膚を削ってしまえば皮膚に雑菌が侵入する原因になってしまいます。健康な皮膚を守る為にもピーリングの後は使った道具のお手入れを忘れずに。

しっかり保湿を

フット用やすりでピーリングを行った後は化粧水と保湿クリーム(ハンドクリームなどでOKです)をたっぷりと塗り、サランラップでかかとをくるむといったしっかりとした保湿を行いましょう。きちんと保湿が行われていないとかかとの角質が剥がれ、肌から水分がなくなり、体が水分蒸発を防げていないと判断して角質細胞をたくさん生産してターンオーバーが乱れる原因になってしまいます。すぐにかかとがカサカサになる方は保湿に有効な成分が入っているものを選びましょう。

・保湿効果のある成分
セラミド/ヒアルロン酸/コラーゲン/エラスチン/天然保温因子(NMF)/ステアリン酸コレステロール/コレステロールエステル/ポリクオタニウム-61(リン脂質)/水素添加大豆レシチン/プロテオグリカン/アミノ酸/ヘパリン類似物質/グリセリン(グリセリンの種類によって違いあり)

クリームを塗る際に注意したいのがかかとによく塗る尿素入りクリームです。尿素はタンパク質を分解して溶かす効果のある成分です。かかとの皮膚を柔らかくしたい時にはとても有効な成分なのですがピーリング後に塗ると強い刺激になってしまうので使わないように注意しましょう。

まとめ

かかとは皮膚が分厚く元々のバリア機能は高いのですが体全体の重さを支える、外部刺激や摩擦を多く受けるなど様々な刺激を受け、ターンオーバーが乱れ皮膚がガサガサになりやすい部位です。ターンオーバーを正常にしきれいな肌を守る為にもピーリングを行ってみませんか?

ライタープロフィール
aestivum

20代後半独身ながら生活を楽しんでいるaestivumです。女性の読者の方が楽しく、自分らしく生活を送る事ができるようなキッカケとなる文章をお届けできるよう頑張ります。国立大学理系卒、現在は大学技術職員をしながら文章書きをしています。