この数年、女性がイキイキと華やかに見えるのは、赤やオレンジのリップの流行がその理由の1つです。そこで気をつけたいのがすっぴん唇。濃い色の口紅が取れた時、とたんに血色の悪い疲れた雰囲気が前面に出てしまうことがあります。それをカバーしてまた塗るという繰り返しや、日中、強い紫外線を浴びれば刺激となり、シミの原因になります。あなたの唇、どうですか?肌同様、シミは簡単に消すことが出来ないため、毎日のケアはもちろん、気になるなら皮膚科での診察が改善につながります。そんな唇とシミについての基本情報をご紹介します。

唇のシミチェック!その前に皮膚の基本編

普段何気なく見ている自分の肌の内部や働きの基礎知識について、まずはおさえておきましょう。

皮膚の用語と役割を確認

●表皮・真皮・皮下組織について
皮膚表面の構造は大きく3つに分かれます。表皮は、肌の最も外側にあたる部分で4層(足裏、手のひらは5層)から成ります。その下にある真皮は、血管や神経、細胞などが多く集まる部分です。さらにその下にある皮下組織は、主に脂肪組織から構成されています。

●角質層とバリア機能
表皮の中で、外側に位置しているのが角質層と呼ばれている部分です。その中にある小さなひとつひとつの角質細胞の周りには、細胞間脂質で満たされています。ちょうどブロックのような四角い細胞の隙間をセメントのような細胞間脂質で埋めているイメージです。細胞間脂質には、バリア機能を高める働きがあり、乾燥や外部の刺激から肌を守っています。

●汗腺とその役割
汗は汗腺から放出されていて汗腺には2種類存在しています。エクリン腺からは、体温調節が必要なときや緊張したときに出る汗が放出されています。また、アポクリン腺は脇の下や乳首、粘膜など特定の部位のみに分布しており、フェロモンの役割をしています。

●皮脂腺とその役割
汗腺とは別の経路となっています。皮脂線は毛穴に備わっており皮脂が放出されています。肌の潤いを保つ作用やバリア機能を高める働きがあります。

●皮脂膜とその役割
皮脂腺から放出された皮脂と汗などが混じって、肌表面を覆う薄い膜を皮脂膜と呼んでいます。肌の乾燥を防いで肌に潤いを与えています。

●天然保湿因子(NMF)とは
NMFは、Natural Moisturizing Factorの略で日本語に訳すと天然保湿因子となります。角質細胞内で、ケラチンと一緒に肌の保湿作用を担っています。
    
●肌のターンオーバーとは
ターンオーバーは、肌にある細胞のサイクルのことです。下層から新しい細胞が生まれ、徐々に細胞分裂が繰り返されて、最終的には角質となって剥がれ落ちます。肌を常に良い状態に保つためには、このターンオーバーが欠かせません。ターンオーバーは28日周期と言われていますが、年齢や環境などで幅があり50日以上かかる場合もあります。

●メラニンとは
色素細胞から放出されているメラニンは、肌を黒くすることで紫外線を浴びたときの影響が深部まで及ばないようにして、肌を守る作用をしています。メラニンが過剰放出されたり、ターンオーバーの乱れで肌に残ってしまうと、シミやソバカスとなってしまいます。
メラニン色素には2種類あります。フェオメラニンと呼ばれている黒や茶色、ユーメラニンと呼ばれる赤や黄色のメラニンに分類されています。人種による肌の色を決めているのは、このメラニンの種類やメラニン色素の分布の仕方により分かれています。

唇の特徴

薄くて刺激に弱い理由を追究!

唇は、赤い色が付いていることからも分かるように通常の肌とは性質が異なっています。先ほど紹介したような他の肌にある基本的な機能の違いがみられます。

●未発達な角質細胞とは

唇は、角質層が未発達で薄くなっています。そのため、通常はバリア機能の働きをする角質細胞の働きが非常に弱く、ダメージを受けやすくなっています。

●皮脂膜が出来ず粘膜状

本来、肌は皮脂膜に覆われて保湿の作用があります。しかし、唇には皮脂を放出する毛穴がなく皮脂腺がありません。さらに、皮脂と混じって皮脂膜を形成する汗を放出する汗腺も存在していません。そのため、唇は乾燥し、敏感になりやすくなっています。唇のすぐそばにある口の中は粘膜ですが、外側にある唇も粘膜に近い性質を持っています。

引用元: http://www.kao.com/jp/skincare/class_06.html

●バリア機能が低い
角質層が薄いこと、皮脂膜がないことから肌を乾燥や外部の刺激から守るためのバリア機能が低下しやすくなります。

●独立脂腺とは

唇には皮脂を放出数する毛穴がありません。その代わりに、直接表面に開口している独立脂腺と呼ばれる脂腺があります。

引用元: http://www.derm-hokudai.jp/jp/shinryo/pdf/1-10.pdf

●ターンオーバーの周期が短い
角質層が薄いこともあり、唇のターンオーバーの周期は数日から1週間ほどと短くなっています。通常の肌は28日〜50日前後かかるため、非常に早いサイクルと言えます。

●口角部分にメラニンが付着しやすいメラノサイトが多い
唇には、紫外線から守るために必要なメラニンを生成するメラノサイトが存在していません。基本的には色素沈着を起こしにくいはずなのですが、メラニンが存在している肌との境目の口角部分は、やや起きやすい傾向にあります。また、メラニン色素の多い有色人種、または加齢により、メラニンが付着してしまうこともあります。

真皮の特徴

●肌同様の構造をもつ
唇の表皮は通常の肌と大きく違う点が数多くありましたが、その下にある真皮は肌と同様の構造を持っています。美容用語としてよく聞かれる、線維芽細胞、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸が存在しています。

●栄養を送るための血管が分布
真皮は、表皮と皮下組織の間に位置しており、栄養を送り老廃物を受け取るための血管が分布しています。

唇が赤く見える理由

唇は表皮の角質層が非常に薄いため、その下にある真皮が見える状態にあります。真皮は血管が豊富に分布しているため、赤い血液の色が透けて見えることから唇は赤く見えます。

唇にシミが出来る理由

<原因>

●紫外線
メラニン色素が増える一番の原因は紫外線です。紫外線を浴びて放出されるメラニン色素ですが、肌を黒くして肌内部まで影響が及ぶのを防ぐ役割があります。一見、悪者に見える日焼けですが、実は体を守る大切な防御作用です。

●乾燥
肌は外部からの刺激に耐えて、常に乾燥しないように機能しています。乾燥すると、肌のバリア機能が低下してしまい、通常行われる細胞の働きがうまくいかなくなります。

●メイクの負担と色素沈着
表面の角質層が薄い唇ですが、特にメイクをする人では口紅を使用することが多く、口紅自体が色素沈着の原因になります。

●乱暴なクレンジング
唇は皮脂膜がなく傷つきやすい部分のひとつです。唇の縦ジワに入った口紅を落とそうとしてゴシゴシと強い刺激を与えると、ダメージを受けてしまいます。

<改善方法>

●クレンジングと洗顔
色素沈着を防ぐ身近な方法のひとつとして、清潔な状態を保つということがあります。口紅を使用した日には必ずその日のうちにクレンジングを行いましょう。落ちにくい口紅も増えていますので専用のリムーバーを使用して確実に落とすようにしてください。クレンジングや洗顔では、唇を忘れがちな傾向がありますので唇に注意して行ってみてください。

●美容医療を頼るなら
美容クリニックでは、レーザーによる色素沈着のケア、美白に効果のある有効成分を真皮に直接注入する方法などがあります。

唇にシミを作らないためのコツ

できてしまったシミのケアには時間がかかります。まずは、シミができないように予防としてのケアを徹底することが大切です。

主な原因は紫外線

紫外線を浴びることにより、メラニン色素が増えます。日常的に浴びる紫外線から唇を守ることが重要になります。

唇を紫外線から守るには

粘膜に近い性質を持つ唇には直接日焼け止めを塗ることができません。それでは、どのように保護すれば良いのでしょうか。

UVリップクリームの種類と選び方

通常使用しているリップクリームを、SPF値の記載されたUVケアができるものに替えると日焼け止めの代わりとなります。使用する際の注意点として、朝昼用として使用し、夜には保湿作用の高いものを選ぶようにしましょう。昼は保護、夜は保湿の作用が高まります。

●古いリップクリームは酸化の恐れあり!?
毎日使用している化粧品は、開封した時点で酸化し始めます。栄養価が高い=微生物が好むということは劣化しやすくなっています。ナチュラル系のリップは長くても3ヶ月、通常のリップでは半年ほどを目安に使い切りましょう。複数使用していてよく分からないという方は、今後新しくリップを使用する際に、底に開封日を書くなど工夫をしましょう。

常に清潔&保湿

唇は粘膜に近く、食事をしたり、呼吸や会話をしたりと常に活動を行っている部分のひとつです。清潔さを保ち保湿を十分に行うことで、バリア機能が高まり正常な状態を保ちやすくなります。

専用口紅リムーバーと洗浄

メイクの中では欠かせない口紅ですが、頬や額はしっかりとクレンジングしていても唇は忘れがちという人は多いものです。リキッド状やミルクタイプなどの専用リムーバーで優しく拭き取って口紅はきちんと落とすようにしましょう。各メーカーから同じ化粧品シリーズの口紅専用リムーバーがあるほか、アイメイクのリムーバーと兼用のタイプもあります。

リップクリームの塗り方のポイント

夜は眠る前に保湿ケアとして、朝は口紅の前にリップを使用して保護を意識して使用しましょう。横方向に塗った後は、リップクリームを縦方向に唇に当てて縦じわに沿わせるように塗るとまんべんなく塗ることができます。

マッサージ

血行を良くするために、リップクリームを塗った後にクルクルと人差し指でマッサージを行うと効果的です。強い刺激は避けて優しくケアを行うようにしましょう。

ラップパック

唇がガサガサで皮むけするという方は、ラップパックを実践してみてください。リップを厚めに塗った後に5cm四方程度にカットしたラップをのせて5-10分程放置するだけです。天然のハチミツを代用しても構いません。

食事による栄養バランス

ビタミンB2には粘膜や皮膚を健康に保つ作用があります。卵や乳製品、納豆、うなぎやレバーに多く含まれています。

気になる場合は皮膚科で受診を

尋常でない唇の異変を感じた場合には、念のため皮膚科医に相談した上でホームケアを行うようにしてください。

唇のシミと腸の関係

ホクロは病気のサインとなることがありますが、シミもホクロもメラニンが影響しています。唇にできるシミは大腸や小腸などの消化器系のポリープのサインであるとも言われています。

唇の皮剥けと体調

ストレスや体調が優れないときは、皮膚のバリア機能がうまく働きにくくなります。唇の荒れがひどく、皮剥けが見られるときには体調不良の表れとなることがあります。

まとめ

肌のケアはしっかりと日焼け止めを塗って美白化粧品を使ってケアをしていても、唇はどのようにケアしたら良いか分からないという人も多いのではないでしょうか。唇も肌も同じ皮膚ですが、今回ご紹介したように、実は備わっている機能が大きく違っています。その違いをしっかりと理解した上で唇のケアを行いシミを防ぐようにしましょう。

ライタープロフィール
ミライ

ミライ
日本の鍼灸師国家資格、フランスのエステティシャン国家資格保持。日仏で約15年間活動後独立。現在は美容鍼灸、エステ施術、フランス語翻訳、アドバイザー、後進の育成、美容ライターなど幅広く活動中。世界35カ国以上を訪れた経験あり。