1本の白髪を見つけた時、ショックのあまり抜いてしまった、という経験があるかと思います。でもどうでしょう。増えるたびに抜く行為…。ここで髪の毛を抜く時の頭皮の引き上がる感覚を思い出してみて下さい。ダメージの大きさが想像出来るはずです。つまり白髪を抜くと、髪にも頭皮にもメリットはないのです。そして気を付けなければならないのは癖になってしまうということ。白髪そのものが健康毛であれば、染めて保護するケアを施すことでダメージを軽減させることが出来ます。そのためにもメカニズムやケア方法を把握して、いつまでも美髪を目指しましょう。

それはわかっているんですよね。でもつい気になってしまうんです。そして、どんどん増えていったらどうしようと焦ってしまうんです。だれもが経験していることだと思いますが、いかがでしょうか。
 それでも焦らないことが大切なんです。というのは、ここで抜いてしまっても、白髪が減ることはなく、健康な毛が生えてこなくなるからです。

白髪を見つけても焦らないことが大事!

白髪について理解しておこう

●白髪とは
 白髪とは、加齢によって色素細胞が衰えて、毛髪の色素が消えてしまった状態のこと。頭皮内の毛包には毛乳頭という突起があって、これを支えているのが毛母細胞。この細胞の間に黒い髪を作るためのメラノサイト(色素形成細胞)がありますが、この働きが何らかの原因で弱まったりすることで、髪を黒くするメラニン色素が作れなかったことによって白髪が起こります。

白髪の原因

 白髪のメカニズムはわかっているのに、白髪の原因ははっきりと解明されていません。ただ、考えられるのは、遺伝、加齢、ストレス、紫外線、栄養不足、病気などです。
 遺伝について、白髪になりやすい人は、遺伝的な要因が強いと言われています。ただし、はっきりと解明されていないそうです。とくに20代など若いころから白髪が目立つ方はその傾向が強いと言われています。
 加齢は、老化によってメラノサイトも弱ってくると考えられています。メラノサイトの働きが悪くなると、メラニン色素が作られなくなるため、白い髪に色がつかなくなります。

 精神的ストレスは、毛細血管を収縮させてしまい、毛母細胞の働きを弱めてしまいます。毛母細胞は、髪の毛の種のようなもの。これが弱ってしまったら、毛は成長していきません。
 紫外線は、頭皮にダメージを与え、それによってメラノサイトが影響を受け、白髪になることがあります。紫外線はシワの原因にもなっていますが、白髪の原因にもなっているのですね。
 髪の毛を作るたんぱく質をはじめ、ビタミンやミネラルなどが不足することで、栄養面の不足が白髪を引き起こすこともあります。食生活の習慣を見直し、髪の毛に必要な栄養分がしっかりと摂れているのかどうか、確認する必要がありますね。

 そして、白髪の原因に病気もあります。慢性の胃腸疾患、貧血、甲状腺疾患などの病気によって、急に白髪になることがあるそうです。

メラノサイト欠失型とは

 白髪にはふたつのタイプがあります。メラノサイトが残っているのにメラニン色素の合成が行われないタイプとメラノサイトが減少あるいは欠失しているタイプです。白髪の多くは後者のタイプがほとんど。メラノサイトに何らかの問題がある場合がほとんどなのです。

ヘアサイクルとメラノサイト

 ヘアサイクルとは、髪の毛が生まれてから抜けるまでのサイクルのこと。生まれてから成長している間を成長期、成長が止まると退行期、毛が自然に抜けるのを待っている間を休止期と呼んでいます。休止期は、同時に次の成長期の準備をする時期でもあり、これが大きなサイクルとなっているわけです。

成長期

 成長期は、毛母細胞がどんどん髪の毛を作り出す期間を差します。この間、毛はどんどん成長していきます。

退行期

 退行期になると、毛乳頭と毛母細胞は分離し、毛母細胞は細胞分裂を止め、毛の成長は止まります。

休止期

 毛は成長が止まると、徐々に皮膚の上部に上がっていきます。こうして抜けやすい状態になると、自然に抜けるのを待つことになります。同時に、新しい毛を作る準備がはじまります。

黒髪と白髪の分岐点

 ヘアサイクルの中で、休止期に毛の成長が停止し、次の毛髪が成長するための準備をはじめている時期のことを初期成長期と呼んでいます。このとき、黒髪が生まれるのか白髪が生まれるのかが決定されます。

黒髪の初期成長期

 初期成長期において、毛乳頭の毛細血管から栄養分が送られ、毛母細胞の元になる毛芽が生まれます。これが毛母細胞となり、髪の毛に成長しますが、毛乳頭においてまわりにメラノサイトが再配置されると、黒髪が新しく生まれることになります。つまり、毛根で髪の毛が生まれた直後はメラニン色素が含まれていないため、生まれたばかりの毛はすべて白髪。それが、このメラノサイトによって作られたメラニン色素が色をつけるわけです。

白髪の初期成長期

 上記で説明しましたように、生まれたばかりの毛髪は白色。つまり、生まれたばかりの毛髪に色がつかないと、そのまま白い毛が生えてきます。これが白髪なのです。
 色がつかないというのはどういうことでしょうか。たとえば、メラノサイトがなくなるということがあります。そうなると、メラニン色素が作られないため、生まれたばかりの毛髪は白いまま生えてきます。

 また、メラノサイトがメラニン色素を作る際に必要なチロシナーゼという酵素に問題があると、メラニン色素が作られないため、色がつかなくなります。では、チロシナーゼの問題とはどういうものなのでしょうか。そのひとつに、加齢によってチロシナーゼが減少することがあります。このため、メラノサイトが機能せず、メラニン色素が作られないということが起こります。
 メラノサイトはシミの原因でもあるため、敏感な方には悪いイメージがつきまとうかもしれませんね。でも、メラノサイトは黒髪を生み出すために大切な成分なのです。

白髪の出来方は人ぞれぞれ

 白髪のメカニズムは徐々にわかってきてはいるものの、まだまだよくわからないことがたくさんあるそうです。事実、20代のころから白髪が生えてくる人もいれば、60歳を過ぎても白髪がない人もいますよね。また、白髪が突然、黒髪になることもあります。本当に不思議です。

成長期で突然白髪に

 初期成長期に生まれた毛がメラニン色素によって黒く色がつき、そのまま毛が成長期を迎えるはずが、メラノサイトが毛母細胞からなくなってしまうことがあります。これは、毛根部にあったメラノサイトが死んでしまったり、活動を休止してしまったりした結果だと言われています。

成長期で徐々に

 生まれ変わった毛が、成長期にもかかわらず、何らかの理由によって、メラノサイトの活動が弱ってきて、徐々に色素が減っていくことがあります。これは、毛根部のメラノサイトが徐々に力を失って行くことで、成長期の毛が少しずつ白くなりながら伸びていった結果です。この場合、最終的に、メラノサイトはすべて死んでしまうこともあります。

新しい髪が白髪として伸びる

 白髪が目立ちはじめると、しわが目立ちはじめたのと同じように、急に老けたような気分になってしまいますよね。とくに私たち日本人の髪は、白髪の目立つ黒髪。金髪では目立たない白髪が、周囲の黒にくっきりと映えてしまいます。一定の年齢に達すると、銀髪はおしゃれでステキに見えますが、30代や40代という年齢ではやっぱりガッカリしてしまう気持ちのほうが大きく占めてしまいます。

 実際、私は前頭葉に白髪があって、かなりストレスになっています。しかも、おでこの上部の真ん中あたりにつむじがあるので、キレイに白髪が目立ってしまいます。これを「染めているみたいでカッコいいよ」と言ってくれる人もいますが、なかなか自分ではそう思えません。
 新しい髪が白髪として伸びてしまう…何とかしたいと思うのは、私だけではないと思います。

白髪を抜く行為は危険!?

 だからといって、白髪を抜くという行為は非常に危険。白髪を抜くという行為は習慣化されやすく、白髪を見つけたら抜きたくなり、どこかでそんな行為が楽しくなったりすることもありますよね。

 しかし、白髪を抜き続けると、頭皮のトラブルを招くだけでなく、毛が生えてこなくなることもあります。また、白髪を抜いても白髪が増えることはありませんが、抜け毛症になったり薄毛になったりなんてことになっては元も子もありません。

頭皮トラブル

 白髪を抜くと、毛根にダメージを与えてしまいます。毛根部には、新しい毛を生み出す毛母細胞や髪の毛に黒い色をつけるメラノサイトなどがありますよね。つまり、白髪を抜き続けると、こうした毛母細胞やメラノサイトを傷つけることになってしまいます。その結果、毛根部は弱くなってしまい、ますます白髪が生えやすくなってしまいます。

 さらに、毛根にダメージを与えることで、頭皮に炎症などが起こりやすくなります。炎症が起こると、当然、髪の毛にも影響を与え、毛が薄くなってしまったり、毛が抜けるようになったりしてしまいます。

抜いても増えない

 ところで、白髪を抜くと増えると言われることがあります。しかし、それは真実ではありません。白髪は、何らかの理由でメラノサイトの働きが衰えた結果、髪の毛に色がつかないため、白いまま生えてくること。白髪を抜いても抜かなくても、白髪は生え続けていきます。
 だったら抜いてもダイジョウブかというとそうではなく、上記で説明しましたように、頭皮のトラブルなどを引き起こすことになります。繰り返しになりますが、白髪は抜いてはいけないのです。

白髪のダメージに要注意!

 白髪によって与えられるダメージはさまざま。白髪に敏感になりすぎて、抜くことに快感を感じてしまうという精神的なダメージもひとつ。白髪を抜くことで毛根部にダメージを与え、傷つけてしまうのもひとつです。

加齢とともに起こる現象

 このように白髪が与えるダメージ、侮ってはいけません。白髪を抜いたときは、白髪がなくなったように錯覚しますが、結局、また同じように生えてきます。それならまだいいのですが、抜いたことによって周囲の毛根部にも影響を与え、髪の毛を作る毛母細胞が傷つくことで、新しい髪の毛を作ることができなくなります。その結果、抜け毛や薄毛となることもあります。
 白髪は、年齢とともに起こる自然の現象。老化という側面ばかりが目についてしまい、後ろ向きになってしまうことも多いのですが、年を重ねたからこそ生まれる美しさもあるはず。前向きにイキイキとしていけたらいいなと思います。

白髪染めとカラーリング(ブリーチ)は違う

 白髪染めもカラーリングも、髪の毛を染めるという行為は同じ。主な成分も原理も同じです。しかし、染める目的がちがうため、使われる液剤の配合バランスなども異なります。
 細かい説明はこの場では触れませんが、かんたんに言ってしまうと、白髪染めは、黒髪も白髪もバランスよく染まるような色作りがされていますが、カラーリングでは白髪が染まりにくいという特徴があります。また、髪へのダメージはカラーリングのほうが強く、そのため、色持ちもいいのですが、その分、髪への負担は大きくなります。
 とはいえ、白髪の量がさほど多くなく、頻繁に髪の毛を染めることもないのであれば、ヘアカラーでカラーリングをした方が長持ちします。ただし、明るい色でカラーリングすると、白髪がかえって目立ってしまうこともありますので、ヘアカラーで染める場合は暗い色を選ぶことをオススメします。

ホームケアのポイント

 白髪を黒くするためには、毛根部を健康にすることです。頭皮をしっかりとケアすることで、衰えていた毛母細胞が正常に働き出すことがあります。日々の洗浄をしっかりとして、洗浄の後の保湿や栄養補給を十分に与え、頭皮をマッサージして血行をよくすることが大切です。
 体の末端にある髪の毛にまで栄養が行き届くようになるには非常に時間がかかると言われています。毎日、欠かさずケアしているのに白髪が黒くならない…と、私自身も考えてしまうことがありますが、体は栄養で作られ、日々の生活の中で生きています。食生活を改善し、適度に運動をすると同時に、十分な睡眠を取るなど、毎日の心がけも大切。あきらめないで続けることですよ!

まとめ

 今回は、黒い髪の毛にくっきりと目立つ白髪について研究しました。ヘアサイクルを学び、白髪の原因について考えてみました。白髪が気になるからといって、抜いてしまうのはNG。頭皮のトラブルを引き起こすだけです。気になる方は白髪染めやカラーリングの対応も。毎日のホームケアをしっかりとやって、白髪が黒髪になるようにがんばっていきたいですね。

ライタープロフィール
ogata

雑誌や書籍の執筆を経てスペインへ。スペインにて知り合った夫と結婚してフランスへ。現在、フランスの田舎で暮らしながら、オーガニックコスメの研究、有機野菜の栽培、頭で食べるダイエットと、ヘルシーな日々を送っています。趣味は書道、好きなことは笑うこと。健康で美しい生き方を考えていきたいと思っています。