白髪はヘアカラーよりも白髪染めの方が傷みにくいと言われていますが、頻繁に染めると頭皮や髪へのダメージが進みやすく、切れ毛や抜け毛、薄毛の原因になりかねません。髪の毛は一般的に1ヶ月に1㎝伸びるため、白髪が目立ってくる1ヶ月に1回を目安に染める人も結構いるようです。確かに色の差は気になりますが、頭皮と髪のことを考えると、そのペースでは多過ぎる、期間が短過ぎて健やかな髪の成長を妨げることがあります。では白髪染めの理想の頻度はどれぐらいか、それにまつわる情報と合わせてご紹介します。

白髪染めと上手に付き合う前に


 白髪がだんだんと目立ちはじめると、まず考えてしまうのが「どうやって隠そうか」ということではないでしょうか。
たしかに、気になる白髪を目立たなくさせることは大切なこと。落ち込んでがっかりするよりも、どうしようか前向きに考えることはいいことだと思います。でも、その前に髪の毛について研究してみましょう。どれぐらいの頻度で白髪を染めたら良いのかについてご紹介します。

髪の構造と役割を再確認

白髪でも黒髪でも大事なことは健康毛であるということ。
そこで髪の毛の構造について確認しておきましょう。
 
まず1本の髪の毛は、3つの層からなっています。外側がキューティクル、中間がコルテックス、内側がメデュラです。それぞれについて理解を深めてみて下さい。それが記憶として残っていると、髪の毛に触れる時に、いたわるようになるからです。

●キューティクルの重要性
髪の毛の表面を覆っているのがキューティクルです。
髪の毛の内部を保護し、髪の毛の内部にある水分やたんぱく質が損なわれるのを防ぐ働きをしています。主成分の硬いたんぱく質が、うろこ状の層として何枚も重っています。

各層の表面にはMEA(18-メチルエイコサン酸)と呼ばれる脂質成分が存在し、髪の毛全体の1%も満たされないにもかかわらず、つやや手触りに重要な役割を果たしています。
キューティクル全体、そしてMEAに至るまで、髪の表面だからこそダメージを受けやすい部分だということを意識しておきましょう。

●コルテックスの重要性
 髪の毛の大部分を占めるのがコルテックスです。
主な成分は繊維状のたんぱく質で、脂質や水分とのバランスによって、髪の毛の太さや柔らかさ、ハリなどが決まります。コルテックスに含まれているメラニンによって髪色が決定されます。

●メデュラの重要性
 髪の毛の内側、つまり中心にあるのがメデュラです。
やわらかいたんぱく質が主成分で、産毛や細い髪の毛には存在しないこともあります。外からの刺激に敏感で、空胞ができやすいという特徴があります。その空胞によって髪の輝きや色あせに影響を与えていると言われています。

白髪とメラニン色素

 白髪と深く関係あるメラニン色素。ではいったいどんな関係があるのでしょうか。
そもそも生まれたばかりの髪の毛には色がついていません。
つまり髪の毛は白髪として生まれるということになります。
そして、髪の毛が作られていく中で、メラノサイトという細胞が作るメラニン色素によって色がつくのです。多くの日本人は、このとき黒色の色素がつきます。
 
メラノサイトは毛根の一番奥にありますが、それがあるからといって、必ずしもメラニン色素ができるとは限りません。メラニン色素を作っていく上で必要なチロシナーゼという酵素が、何らかの理由でうまく働かないと、髪の毛に色がつかず、白髪として髪の毛が伸びてくることにもなるのです。

●老化と色素形成細胞(メラノサイト)の働き
さて、ではどうしてチロシナーゼが十分に働かなくなるかについて、見ていきましょう。
まず、原因のひとつが加齢、つまり老化によるものです。
年齢を重ねると、チロシナーゼの量が減るだけではなく、機能が低下することがあるのです。その結果、メラノサイトがメラニン色素を十分に作ることができなくなります。
加齢のほか、遺伝や病気なども原因と考えられます。また、何らかの理由でストレスを浴びると、それによって白髪になることもあります。

髪の成長のプロセス

次に、白髪になるタイミングについて知るために、髪の毛の成長のプロセス、つまりヘアサイクルについて見てみたいと思います。

 ヘアサイクルとは、生えてきた髪の毛が抜けて、また生まれ変わって伸びていく周期のことです。一般に、男性は3~5年、女性は4~6年という年月をかけて、このサイクルを循環していると言われています。一般に、成長期、退行期、そして休止期の3期が基本です。

「成長期」とは、髪の毛が生まれてから成長している期間のことで、髪の毛の元である毛母細胞が、髪の毛を作っていく過程です。
そして、毛母細胞が細胞分裂をやめ、毛根が小さくなっていき、髪の毛の成長が止まります。これが「退行期」と呼ばれる過程です。
こうして髪の毛の成長が止まると、髪の毛は自然に抜けていくのを待つと同時に、次に生えてくる新しい髪の毛の準備をはじめます。この過程を「休止期」と呼んでいます。

白髪染めと髪の関係


白髪を隠したいと、セルフで染める人も多くいると思います。
そこでお気づきでしょうけれど、市販されている白髪染めは、そのほとんどが1剤と2剤があり、両者を混ぜ合わせて使うようになっています。このふたつの液剤と髪の毛に与える影響について、確認してみましょう。

白髪染めは何で出来ているのか

1剤にはアルカリ剤と染料が配合され、2剤には酸化剤(過酸化水素水)が含まれています。
アルカリ剤は、髪の毛の表面にあるキューティクルを開くための薬剤です。
これによって、染料が髪の毛の内部に浸透しやすくなるわけです。染料は、色を染める薬剤で、何種類かの染料が含まれています。酸化剤は1剤の染料の発色をよくします。
この両者を混ぜた混合剤を髪の毛に塗って染めていくわけです。

白髪染めのメカニズム

 1剤と2剤を混ぜた混合剤を髪の毛に塗ると、まず髪の毛のキューティクルが開きます。そこから染料が髪の毛の内部に浸透していき、酸化剤によって髪の毛のメラニン色素が脱色し、同時に染料を発色させます。この際、染料が結合して分子が大きくなり、キューティクルの間から出られなくなり、髪の毛に色がつくのです。

頭皮と髪への影響


 ところで、白髪染めを使用すると、頭皮に強い刺激を感じることがありますよね。まさにこれが、髪の毛や頭皮への負担となっている大きな問題点なのです。細かい薬品名についてはここでは割愛しますが、白髪染めで使われている薬品の中には、体質によってアレルギー反応を起こすものもあり、炎症をはじめとする皮膚のトラブルの原因となり得ます。
 また、髪の毛にも負担を与え、髪のパサつきや乾燥、切れ毛や抜け毛などが生じることもあります。

髪のパサつき・乾燥

白髪染めをいったん使用しはじめると、その後、かなりの頻度で使用し続けることになりますよね。そうなると、髪の毛の表面にあるキューティクルがその頻度に応じて傷んでいきます。その結果、髪の毛に水分がなくなり、髪の毛が乾燥し、パサつきが目立つようになります。

切れ毛・抜け毛

 髪の毛がパサついてきたまま放っておくと、その結果、切れ毛などのトラブルを引き起こしやすくなります。また、さまざまな薬剤によって頭皮がダメージを与えられることで、毛根の働きが低下し、コシのない細い髪の毛が生えてくるようになることも。こうなると、抜け毛などのトラブルに遭うことにもなりかねません。

アレルギー反応について

 白髪染めに含まれる薬剤に対するアレルギー反応の中には、アナフィラキシーショックなどを引き起こすことも考えられます。アナフィラキシーショックとは、体の外部からアレルゲンが入り込むことでショック状態になること。そこまで強い反応ではなくても、咳、目のかゆみ、呼吸困難などの症状を引き起こすこともあります。
 アレルギー体質の方やアレルギー反応が気になる方は、使用する前に、アレルギーがあるかどうかを調べるパッチテストをすることをオススメします。気にならない方もパッチテストをやっておいたほうが安心ですね。

白髪染めで白髪が増えるのは本当!?

 この審議を裏づける有名な研究が、2009年にFASEBジャーナルに掲載されました。過酸化水素によって白髪になるという内容です。この過酸化水素とは白髪染めに含まれている酸化剤のこと。つまり、2剤に含まれている成分です。
 ただ、白髪の原因が過酸化水素だからといって、過酸化水素によってメラニン色素が分解されるというわけではありません。過酸化水素は、体内で作られる活性酸素からも作られています。若いうちは過酸化酸素の量がさほど多くなく、また、過酸化酸素を分解する働きが活発なため、大きな問題は起こりません。しかし、年齢を重ねることによって、過酸化水素がうまく分解されず、メラニン色素を作るチロシナーゼの働きに影響を与えるようになってしまいます。つまり、生まれたばかりの白い髪の毛に色がつかなくなり、そのまま白髪として伸びてしまうのです。

白髪染めの頻度


 こうしていろいろ調べてみると、白髪染めを頻繁に使うのは、あまりよくないことだということになりますよね。頭皮や髪の毛への影響がとても心配になってしまいます。とはいっても、そのまま白髪を放置しておくと、ものすごく大きなストレスとなってしまいます。どうしたらいいのか、考えてしまいますよね。

理想は2~3ヶ月に1回

 一般に、髪の毛は1カ月に1㎝ほど伸びると言われています。ということは、白髪染めでキレイに髪の毛を染めても、1か月後には生え際から1㎝の白髪が生えてくることになります。1㎝も伸びてしまうとものすごく気になりますよね。私のように前頭葉に白髪が多い方は、ツキノワグマのようになってしまい、かなりストレスになってしまいます。
でも、頭皮や髪の毛のことを考えると、ここでぐっと我慢して、何らかの応急処置をするのが得策。そして、2~3カ月に一度のペースで、白髪染めを使っていくようにすると、頭皮や髪の毛への負担を軽減させることができるようになります。

部分染め・リタッチとは

 白髪染めで傷んだ髪の毛をこれ以上傷めないために、部分染めやリタッチ(根元染め)という方法があります。これは、白髪が出てきた根元や部分を染めること。これによって、髪の毛全体を染める時間や手間も省けます。
 ただし、いくつかの問題点があります。それは白髪染めで染まっている全体の色と色味が違ってしまう可能性があるということ。また、ご自身でやろうとすると、うまく染めることができなかったり、ピンと跳ね上がった白髪が染まりにくかったり、部位によっては染めにくかったりと、さまざまな難関があります。

白髪染めとヘアカラーの違いを確認

 白髪染めは、白髪と黒髪の色味がうまく合うように作られています。白髪に色を入れて目立たなくすると同時に、黒髪にも違和感が出ないように色がつくようになっています。一方、ヘアカラーは、基本的に黒髪に色をつけるものなので、白髪がうまく染まらないだけでなく、不自然な色味になってしまうこともあります。
 白髪の量があまり多くない場合はヘアカラーでも白髪を目立たなくすることは可能ですが、白髪の量が増えてきたら、白髪染めの方が自然な髪色にすることができるのです。

レスキュー的アイテム


白髪染めは頭皮や髪のよくない、でも、部分染めやリタッチにもいろいろな問題があって、そうかんたんに扱うことができない…と、落ち込む必要はありません。最近では、もっと気軽に白髪の応急処置ができるアイテムがいろいろありますよね。

トリートメントタイプのヘアカラー

 白髪が少しずつ染まっていくトリートメントは、使いやすくてオススメです。シャンプー前に使うもの、シャンプー後に使うものなど、さまざまなタイプがあります。
 シャンプー前に使うタイプは、普通のカラー剤よりも低刺激ではあるものの、基本的にはさして変わりません。一方、シャンプー後に使うタイプは、白髪がしっかりと染まりにくいというデメリットがあるものの、髪の毛にやさしく、手間をかけずに扱うことができます。

ヘアマスカラを常備

 さらにお手軽なのはヘアマスカラです。使い方はまつ毛のマスカラと同じで、気になる部分に絡めるだけ。水分に弱いというデメリットがあるため、雨の日や暑い日、激しい運動をするときなどには不向きですが、気になった個所に応急処置として使うことができます。しかも、容器はマスカラと同じなので、化粧ポーチに入れても白髪染めだとは思われず、持ち運びも楽で便利です。

まとめ

 今回は白髪染めと髪の毛の関係を研究し、どの程度の頻度で白髪染めを使っていくのがいいのか、白髪染めを使わないときはどのように対応したらいいのかについて見てきました。白髪が目立ちはじめると、鏡に向かうたびに気分が落ち込んでしまうものですが、最近ではいろいろな応急アイテムがたくさんあります。上手に使っていつまでも美しくステキに過ごしていきたいですね。

ライタープロフィール
ogata

雑誌や書籍の執筆を経てスペインへ。スペインにて知り合った夫と結婚してフランスへ。現在、フランスの田舎で暮らしながら、オーガニックコスメの研究、有機野菜の栽培、頭で食べるダイエットと、ヘルシーな日々を送っています。趣味は書道、好きなことは笑うこと。健康で美しい生き方を考えていきたいと思っています。