気になる白髪は一度染めると半永久的に続けるようになるもの。

でもその負担がどれだけのものか、美容師さんや製品に携わる人、もしくは専門家でない限り、深く知る機会がほとんどありません。そもそも毛髪は極細で、その中で様々な働きをしていますが、染めるとその大事な要素を阻害し、美しい髪と縁遠くなっていきます。

では、ヘアカラーが白髪を増やすと知ったらどうでしょう。老けた印象改善のために行っていることが、真逆な結果を生むこともあるのです。今回は、髪1本の構造と働きをしっかり把握し、カラーの基本情報をご紹介します。ぜひ参考にしてみて下さいね。

白髪になる理由

まず、白髪とは髪の毛がどのような状態になっていることをさすのでしょうか?白髪になる理由について見ていきましょう。

「色素形成細胞」の働きの衰え

そもそも髪の毛の色は元々白色です。その白い髪にメラニン色素という色素が毛根の色素形成細胞(メラノサイトとも呼ぶ)から供給されることで髪の毛の色は作られています。白髪はこの色素形成細胞が何らかの理由で働きが衰えたり、失活したりすることでメラニン色素を髪の毛に供給できなくなった状態の髪の毛です。

色素形成細胞を知るために必要なこと

メラニン色素を髪の毛に供給するという大切な役割を持っている色素形成細胞ですが、どこにどのようにして存在しているのでしょうか?まずは色素形成細胞がある髪の毛の毛根の仕組みについて見ていきましょう。

●毛球について
毛球とは毛根の先にある丸い部分のこと全体を指します。毛球には毛乳頭や毛母細胞、色素形成細胞などの組織が含まれています。髪の毛を生み出す細胞が集まっており髪の毛にとって大切な部分です。

●毛乳頭について
毛乳頭は毛乳頭組織とも呼ばれ「髪の毛を作れ」や「脱毛しろ」という指示を毛母細胞に出す大切な役割を持っています。髪の毛に栄養を供給する毛細血管もこの毛乳頭に繋がっており、髪の毛の成長に必要な栄養は毛乳頭を介して毛母細胞や色素形成細胞などに届けられます。

●毛母細胞について
毛母細胞は細胞分裂を角質化して実際に髪の毛の細胞を作り髪の毛を生み出す細胞です。この毛母細胞付近に色素形成細胞があり、色素形成細胞から分泌されたメラニン色素が分裂して角質化しつつある細胞に入り髪の毛の色となります。

色素形成細胞(メラノサイト)とは

色素形成細胞は上記のような細胞に囲まれて存在しています。ここからは色素形成細胞そのものについて見ていきましょう。

●色素形成細胞の働き
色素形成細胞はメラニン色素を作る細胞です。紫外線が当たったり、ケラチノサイト(皮膚の上皮細胞などのこと)や内分泌ホルモンから情報伝達物質を受け取ったりするとチロシナーゼを分泌しチロシンというアミノ酸を分解し、メラニン色素を生成します。

●メラニン色素とは
このようにしてできたメラニン色素は髪の毛や皮膚の上皮に溜まり「紫外線を吸収して重要な細胞をDNAの破壊やガン化から守る」という大切な役割を果たしています。

また、メラニン色素には「ユーメラニン」と「フェオメラニン」という2つの種類があります。ユーメラニンは褐色~黒色のメラニン色素でアジア系やアフリカ系に多いメラニンです。フェオメラニンは黄色~赤色のメラニン色素でロシア民族やゲルマン系に多いメラニンです。

髪の色の根本的な違いとは

髪の毛の色にはメラニン色素の種類と量が関わってきます。黒髪・金髪・赤毛のメラニンの違い具体的に見ていきましょう。

●黒髪・金髪・赤毛の違い
まず、メラニン色素の種類が異なります。黒髪の場合はユーメラニン、金髪や赤毛の場合は黄色系又は赤系フェオメラニンが髪の毛に含まれています。茶色の髪の毛の場合はユーメラニンとフェオメラニンどちらも含まれています。
また、どちらの種類のメラニン色素も量が少ないと髪の毛の色が薄くなる傾向があります。

●どんな髪の色も白髪になるの?
元々の髪の毛の色は白色です。メラニン色素が何らかの理由で供給されなくなればどんな髪の毛でも白色になります。

毛髪1本の構造をしっかりイメージ

どんな色の髪の毛でも髪の毛がボロボロであれば疲れたような印象を相手に与えてしまいます。髪の毛自身の構造について知り、ヘアケアに役立てましょう。

キューティクルとその働き

髪の毛の表面は硬く半透明でうろこ状のタンパク質が4~10層重なったキューティクルという層に覆われています。

働きは外部の刺激から髪の毛内部を守る・髪の毛内部のタンパク質が流出するのを防ぐ・水分の過剰な蒸発を防ぐことです。しかし、ヘアカラーやブリーチ、水に濡れた状態での摩擦刺激を受けるなどの刺激に弱く、油断すると剥がれ落ちてしまいます。

髪の毛の表面にあるということもあり、髪の毛の手触りやツヤを左右する層でもあります。

コルテックスとその働き

コルテックスはキューティクルの1つ下の層であり、ケラチンタンパク質で構成されており髪の毛の85~90%を占めています。働きは髪の毛のしなやかさや弾力性を保つ・髪の毛の太さを決定するなどがあります。

メデュラとその働き

メデュラは髪の毛の中心にある空洞の多い柔らかいタンパク質の層です。髪の毛全てにある訳ではなくところどころない・全くない毛もあります。働きはまだ分からないことが多いのですが、メデュラの空洞の割合が増えると髪の毛が白っぽく見える、ということが最近わかりました。

メラニンはコルテックスへと運ばれる

メラニン色素は2層目のコルテックスに入っています。キューティクルが痛んで剥がれ落ちるとメラニン色素を含んだコルテックスのタンパク質が流出し髪の毛の色が薄くなる場合があります。

白髪が出来るパターン

ここまで髪の毛について見てきましたが、ここからは白髪について見ていきましょう。まずは白髪のできるパターンです。

新しく生え変わった髪から

新しく生え変わった髪から白髪になる、というパターンはよく思い浮かべると思います。これは髪の毛が抜け落ちた後新たに生えてくる時に色素形成細胞からメラニン色素が髪の毛の細胞に供給されなかった為です。この時色素形成細胞は失活しているか一時的にメラニン色素が作れない状態になっています。

成長期の途中から

稀に毛先は黒いのに途中から急に白くなっているという白髪があります。これは髪の毛の成長途中から急に色素形成細胞が失活、もしくは一時的にメラニン色素を作れなくなり、髪の毛へのメラニン色素の供給がなくなってしまった為です。

突然

少ない例ですが髪の毛がある日突然白っぽくなる、ということがあります。これはメデュラやコルテックスの空洞で光が乱反射して髪の毛を白く見せてしまう為です。メデュラやコルテックスの空洞ができる原因は髪の毛の乾燥のしすぎや髪の毛の化学処理(ヘアカラーや白髪染めなど)があります。また、はっきりとメカニズムが解明されていないのですがストレスの作用で空洞ができる、とも言われています。

ストレスや髪の乾燥などは白髪だけでなく髪の毛のダメージにも大きく関わるものなのでストレス解消をしたり髪の毛を乾かし過ぎないよう日ごろから気を付けましょう。

白髪が出来る原因と改善方法

どんな生え方のパターンでも白髪が増える、というのは嫌だと感じる方が多いと思います。白髪のできる原因とその対処方法について見ていきましょう。

白髪のできる原因

●老化
老化が進むと体が衰えるのとう同様に体の中の細胞も働きが衰えてきます。メラニン色素を作る色素形成細胞もこの老化からは逃れられません。老化によって衰えてしまった色素形成細胞はメラニン色素を作れなくなり白髪ができてしまいます。

●遺伝
色素形成細胞やメラニン色素を作る過程などは遺伝子から支持されてなりたっているものです。しかし、人によっては色素形成細胞やメラニン色素を作る為の遺伝子が働きにくかったり、働きの弱い遺伝子を持っていたりしまう。その状態だと色素形成細胞が早いうちに失活してしまったり、上手く色素形成細胞に栄養が供給できなかったり、など白髪が若い時からできやすい状態になってしまいます。

●ストレスによる自律神経の乱れ
ストレスがかかると自律神経のバランスが乱れ、長時間交感神経が優位になってしまう、という状態が続きます。交感神経が優位な時間が長いと血管が収縮して色素形成細胞に栄養を十分に供給できなくなる・ホルモンバランスが崩れて色素形成細胞がメラニン色素を作れなくなるなど白髪の発生を促進してしまいます。

●睡眠不足による自律神経の乱れと成長ホルモン不足
睡眠不足は自律神経を乱れさせストレスと同じような状態にすると共に睡眠中に分泌される成長ホルモンの分泌を抑制します。成長ホルモンは髪の毛を作る細胞の毛母際母の分裂を促したり、色素形成細胞を活性化したりしてくれるホルモンです。しっかり睡眠をとり成長ホルモンを分泌させる必要があります。

●栄養不足
ダイエットなどで食事制限をしているとメラニン色素を作る材料となるフェニルアラニンやチロシンなどのアミノ酸が不足する場合があります。他にも栄養不足は血行不良や代謝が悪くなるなどの体調不良を起こし、髪の毛に十分な栄養を供給できない状態になる場合があります。

白髪のできる原因へのそれぞれの対処

●老化
老化による白髪の発生は中々防げるものではありません。老化による白髪の場合は白髪染めを行う、その他の白髪の原因をなくすなどが一番の対処方法です。

●遺伝
遺伝による白髪の発生は中々防げるものではありません。老化と同様に白髪染めを行う、その他の白髪の原因をなくすなどが一番の対処方法です。

●ストレスによる自律神経の乱れ
ストレスが白髪の原因である場合はストレスそのものをなくすか、ストレス解消方法を見つけることがおすすめです。ストレスには人間関係や心理的なストレスだけでなく気温や騒音といった物理的なストレスも含まれます。人間関係がそこまで悪くないのに白髪ができる・ストレスが溜まっているという場合は身の回りの環境を見直してみてください。

●睡眠不足による自律神経の乱れと成長ホルモン不足
睡眠不足の場合は質の良い睡眠をとることがおすすめの対処方法です。質の良い睡眠をとるためには

・就寝時間を一定にする
・寝る前にブルーライトを発するスマートフォンやPCを見ない
・寝る前にカフェインやアルコールを摂らない
・自分にあった寝具を探す
・寝る前3時間は食事を摂らない

と言った点に気をつけてください。また、成長ホルモンをたくさん分泌させるには負荷のある運動をすることがおすすめです。ちょっとした筋トレや週末のスポーツなどを行ってみてください。

●栄養不足
白髪を防ぐ為にはメラニン色素の材料となるフェニルアラニンやチロシン、血行を促すビタミンEをしっかり摂取する必要があります。各栄養素が含まれる食材は以下の通りです。

・チロシン
かつおぶし/高野豆腐/チーズ/大豆/きなこ/たらこ/ピーナッツ/小麦胚芽/かつお/ちりめんじゃこ/油揚げ など

・フェニルアラニン
かつおぶし/高野豆腐/チーズ/大豆/きなこ/ピーナッツ/ささげ/牛レバー/あずき/油揚げ/いんげん豆/ゴマ/豚レバー/アーモンド など

・ビタミンE
ヒマワリ油/紅花油/マーガリン/米ぬか油/アーモンド/ヘーゼルナッツ/ヒマワリの種/イクラ/あゆ/タラコ/うなぎ/カボチャ/赤ピーマン など

白髪染めとヘアカラーの違いと特徴

老化や遺伝が原因で発生した白髪は髪の毛を染めることでしか対処できないことがほとんどです。しかし、始めて白髪染めするという場合はヘアカラーと白髪染めの違いが分からない、どのような染料を使えばいいか分からないなど困ることが多いものです。まずは白髪染めとヘアカラーの違いから見ていきましょう。

髪の奥まで色を入れる

髪の奥まで色を入れる染料剤は永久染毛剤といって髪の毛が生え変わるまで染めた色が継続します。永久染毛剤の種類を見ていきましょう。

●ヘアダイとは
ヘアダイとは医療用部外品にしているヘアカラーのことを指します。美容室で使われるヘアカラーのほとんどはこのヘアダイです。髪の毛へのダメージは少ないのですが、素人が染めると染まりが悪いという特徴を持ちます。ヘアダイで髪の毛を染める場合は美容室で技術のある美容師の方に染めてもらうと髪の毛にそれほどダメージを与えず、きれいに染まり、色落ちも少ないといった髪染めができます。

●白髪染め
白髪染めは白髪を染める為の染料のことを指します。この為、白髪用のヘアダイ・白髪染め用のヘアカラーなど白髪染めの中でも様々な種類があります。白髪染めの大きな特徴は髪の毛の色を落とすブリーチ力が低いことと白から染めるように染料の色が調整されていることです。染めた色の継続する期間は白髪染めの中の種類によって異なります。

●ヘアカラー(おしゃれ染め)
ヘアカラーはブリーチと染料を混ぜたもので1度で髪の毛の色抜きと染色をしてくれるものです(白髪用は除く)。市販品の場合脱色力や染める力が強く髪の毛にダメージを与えやすい傾向がありますが、染めた色は落ちにくく髪の毛が生え変わるまで染めた色が続きます。

●ブリーチ
ブリーチは脱色剤のことでメラニン色素を脱色し、髪の毛から色を抜く薬剤です。黒髪を明るい髪色に染める時によく利用します。ヘアカラー剤と異なり染料が入っていないというのが特徴です。

●ヘナカラー
ヘナカラーとはヘナという植物性の染料を使った染料剤のことで、ヘアカラーと似た名前ですが性質が大きく異なります。植物性の染料を使っているので染まりはよくありませんが染料自体が髪の毛のpHに近く髪の毛のダメージが少なくて済みます。色落ちしやすい傾向があるので、1ヶ月ごとに染め直す必要があります。

髪の表面に色をのせる

髪の表面に色をのせるタイプの染料剤は半永久染毛料と呼ばれシャンプーで少しずつ色落ちするのが特徴です。

●ヘアマニキュア
ヘアマニキュアは髪の毛の表面を覆うキューティクルの内側に入りコルテックスの外側まで染料が行きわたる為、半永久染毛料の中でも比較的染まりやすく色が長持ちしやすい染料剤です。ヘアカラーより髪の毛にダメージを与えにくい商品が多く1度でそこそこ染まる為便利です。

●カラートリートメント
カラートリートメントは商品によって使い方や染める力、髪の毛へのダメージ力が大きく異なる商品ですが、基本は染める力が弱く髪の毛にダメージを与えにくいものがほとんどです。何度も使う事で髪の毛を徐々に染色していきます。

一時的に色をのせる

●カラースプレー
カラースプレーはキューティクルの表面のみに色がついた状態です。全く髪の毛にダメージがないというわけではありませんが、上のヘアカラー類に比べて髪の毛へのダメージが少なくて済みます。

白髪染めやヘアカラーで白髪が増える理由

ここまでヘアカラーについて紹介してきましたが、ヘアカラーは基本的に髪の毛にダメージを与えます。これはヘアカラーの染料や脱色剤がキューティクルをめくり上げ髪の毛の内部に侵入し、キューティクルにダメージを与え、髪の毛からタンパク質や水分が流出しやすい状態にしてしまう為です。

また、ヘアカラーが頭皮につくとかぶれを起こしたり、アレルギーを起こしたりする場合があります。かぶれやアレルギーが起こらなくても頭皮の細胞に刺激を与え、髪の毛の成長を阻害したり色素形成細胞の働きを悪くしたりする場合も多くあります。

白髪の為にヘアカラーや白髪染めを行う場合はそれぞれのカラーリング商品の使い方を守る・髪の毛や頭皮のお手入れをきちんと行うように気を付けましょう。

健康毛のためにすべきこと

きれいな髪の毛を保つ為には白髪を少なくすると共に健康な髪の毛を保つことが重要です。白髪対策と健康な髪の毛を保つヘアケアについて見ていきましょう。

白髪対策

白髪対策では「4.白髪が出来る原因と改善方法」を参考に原因ごとに対策を行うようにしてください。基本は

・十分な睡眠をとる
・1日に必要な栄養をしっかり摂る
・運動をする
・ストレスを解消する

ということを心がけてください。また、白髪の原因が複数あうという場合があります。生活改善で白髪は少し減ったけど完全にはなくならない、という場合は老化や遺伝などが原因でできた対策が難し白髪かもしれません。中々白髪がなくならない!とイライラするより白髪染めを利用するなどの対策を検討するようにしましょう。

白髪染めもしくはヘアカラーした髪のケア方法

白髪染めやカラーリングをした髪の毛はキューティクルがめくり上がり髪の毛のタンパク質や水分が流出しやすい状態になっています。この状態で雑なヘアケア・間違ったヘアケアを行うと髪の毛がボロボロになってしまいます。ヘアカラーをした後は

・髪の毛を洗う前にブラッシングする
・37℃以下のお湯だけで汚れを洗い流す予備洗いをする
・洗浄力の弱いシャンプーを使う
・シャンプーをする時強くこすらない
・シャンプーが髪の毛に残らないようしっかりと洗い流す
・コンデショナーは頭皮につけない
・髪の毛を拭く時はこすらず。タオルで挟み込むようにして水分をふき取る
・髪の毛が水に濡れた後は必ず乾かす
・髪の毛を乾かす時はドライヤーを髪の毛から10cm以上放して冷風と温風を使い分けつつ乾かす
・必要であれば洗い流さないトリートメントなどを髪につける

などを心がけましょう。特に洗浄力の弱いシャンプーを使うということは大切です。洗浄力の強いシャンプーを使ってしまうと染めた髪の色が落ちる・内部のタンパク質が流出して切毛や枝毛ができやすくなるなど髪の毛に大きなダメージを与えてしまいます。

まとめ

白髪は疲れた印象を相手に与えてしまいやすく、できるだけ隠したいと考えている方が多い老化髪の毛の変化です。

しかし、適切なヘアケアをせずに髪の毛を染める、生活習慣の改善で治る白髪なのに白髪染めをするなどしてしまうと髪の毛・頭皮自身が痛み、白髪が増えてしまうという自体になってしまいます。白髪の原因を見定めつつ原因にあった対処をとりましょう。

 

ライタープロフィール
aestivum

20代後半独身ながら生活を楽しんでいるaestivumです。女性の読者の方が楽しく、自分らしく生活を送る事ができるようなキッカケとなる文章をお届けできるよう頑張ります。国立大学理系卒、現在は大学技術職員をしながら文章書きをしています。