「肌のキメ」は美肌かどうかの印象を左右する要素です。美肌には保湿が大切だということはほとんどの方が意識していることですが、正しい保湿ケアを実践できているでしょうか?ケアをしても美肌に近づかないという人は、間違った方法で行っているかもしれません。保湿の役目を果たすアイテムのひとつである化粧水の選び方と使い方を、肌の知識とともに学習しましょう。

肌のキメとは

「キメ」を漢字で書くと「肌理」と表記します。手の甲を見てみると、細かいシワがたくさんありますね。この網目状に走っているシワのような溝のことを「皮溝(ひこう)」といい、溝に囲まれた三角や四角の形をした部分を「皮丘(ひきゅう)」といいます。また、毛穴を「毛孔(もうこう)」といいます。これら皮溝、皮丘、毛孔で構成されたものを、「肌のキメ」といいます。

キメが整っている状態とは、皮溝や皮丘がこまかく、形が均一で規則正しく並んでいる状態のことを指します。この状態は、水分量と皮脂量のバランスがよく、皮丘がふっくらと盛り上がることで作られます。逆に、キメが乱れている状態は、網目が乱れて不規則で、皮溝は浅く広がり溝の線が目立っている状態です。キメが整うと美しく見える理由は、光の反射する方向がそろうためです。このため、肌の表面がなめらかで透明感のある印象になり、毛穴も目立ちにくくなります。

肌のキメを整えるには保湿が大切


キメが整っている状態とは、皮丘に水分が含まれていてふっくらとしている状態です。しかし、ただ水分を与えればよいというわけではありません。肌の仕組みから保湿の必要性について知りましょう。

肌の仕組み

皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3つの層にわかれています。私たちが目で見ることができる一番外側にあるのが表皮で、およそ0.2㎜の薄さしかありません。そして、さらに表皮は、上から角層、顆粒層、有棘層(ゆうきょくそう)、基底層にわけられます。基底層で肌を作る新しい細胞がつくられ、肌のターンオーバー機能によって徐々に角層へと上がっていきます。表皮には水分の保持や菌などの感染を防ぐバリア機能の役目を持ちます。

角層の保湿機能

角層には、NMFと呼ばれる天然保湿因子と細胞間脂質があり、これらが水分を吸収したり保持する役目を果たしています。さらに、皮脂腺から分泌される皮脂と汗が混じり合ってできる皮脂膜によって肌を乾燥から守っています。いわば、皮脂は油で、汗は水。このように肌には自然と保湿するための機能が備わっているのです。

肌が乾燥すると?

肌の乾燥はあらゆるトラブルのもとになります。乾燥によって古い角質がはがれて新しい角質が生まれ変わるターンオーバーの働きが衰えます。それによって、ダメージを受けた角質がいつまでも残っている状態になりますので、肌のキメも乱れてくすみや肌荒れが起こります。また、古い角質に菌が繁殖し、ニキビなどのトラブルが起きやすくなります。さらに、乾燥によって皮膚の防御作用が働き、肌を守ろうと皮脂を多く分泌します。これによってテカリや化粧崩れがおこりやすくなります。

乾燥する原因

何もしなくても自然と保湿してくれるように思いますが、なぜ乾燥するのでしょうか。その原因は、さきほど挙げた保湿の条件である、天然保湿因子、細胞間脂質、皮脂膜のバランスが崩れることです。その原因は、不規則な生活習慣や、ストレス、エアコン、紫外線などがあげられますが、特に気を付けたいのがクレンジングや洗顔での洗いすぎがあげられます。かといって洗わないと古い角質が残り、肌にはよくありません。ここで乾燥を防ぐ役目をするのが化粧水なのです。

肌のキメを整える化粧水の選び方

洗顔後には化粧水を使うのがあたりまえのことになっていますが、肌のキメを整えるにはどのような点に注目して化粧水を選べばよいのでしょうか。そのヒントは肌本来の保湿成分です。詳しくみていきましょう。

化粧水の役割

化粧水というと、「お肌に水分を与えるもの」と思っていませんか?実は少し違います。確かに化粧水の成分は、ほとんどが水と水溶性成分です。洗顔後に肌をそのままにしておくと、どんどん乾燥していきます。だから水分が必要だと思うところですが、水だけつけていては肌の表面につくだけで奥には浸透せず、また乾燥することの繰り返しになります。というのも、皮膚には防御作用があり、油分を含んでいるので水だけでは浸み込まないようになっているのです。

化粧水の役割は、水分を肌の奥へ届けることにあります。水とともにグリセリンやエタノールといった水溶性基材やエモリエント剤を含ませて吸収しやすくしています。さらに、肌に清涼感を与えたり、pHバランスを整えて肌の調子をよくしたり、肌をひきしめたりといった役割もあります。

角層の保湿成分とは

肌のキメを整えるには、肌の一番表面にある角層に充分に水分が保たれていることが大切です。そのためには、洗顔で失われた保湿成分を本来のバランスで元に戻すことが肝心です。その保湿成分は、さきほど説明した天然保湿因子、細胞間脂質、皮脂膜の3つです。

天然保湿因子の成分の大部分はアミノ酸で、その他にPCA(ピロリドンカルボン酸)、乳酸ナトリウム、尿素などの保湿成分でできています。

細胞間脂質は主にセラミドを含み、角層の80%を占めています。そして、角層の中で規則正しく、水分と油分が何層にも重なり合っています。これをラメラ構造といいます。このセラミドは特殊な脂質で、油分にもかかわらず、水となじみやすい親水基をもっています。セラミドが少ないと肌のうるおいが失われやすく、乾燥肌になります。

皮脂膜は皮脂と汗が混じったものと説明しましたが、皮脂に角層由来の油分が混ざったものを皮表皮質といいます。この皮表皮質の構成成分は、トリグリセリド、ワックスエステル、脂肪酸、スクワレンなどです。

注目したい保湿成分

角層の保湿成分について説明しましたが、化粧水の成分として取り入れたいものは、天然保湿因子の成分です。アミノ酸、PCA(ピロリドンカルボン酸)、乳酸ナトリウム、尿素などですね。特にアミノ酸は天然保湿因子の成分の大部分を占めており、分子が小さいので角層まで浸透します。角層には含まれていませんが、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンも代表的な成分です。これらは真皮にあり、お肌のハリや弾力を作る成分ですが、水分を吸着し抱え込む性質があるため、多くの化粧水に使われており、保湿効果も期待できます。ほかにも、美肌効果やシミ対策でなくてはならないビタミンC誘導体は肌のターンオーバー機能を促進させます。細胞間脂質の成分であるセラミドも保湿効果が高い成分です。油性成分ですので皮脂膜の成分と同様に美容液やクリームなどで補うのが効果的です。

化粧水の使い方


せっかくよい成分の化粧水を使っていても、使い方を間違えると効果がありません。ここで、化粧水の正しい使い方を確認しましょう。

化粧水をつける前にやっておきたいこと

化粧水は保湿成分を角層に届けることを意識しましょう。そのためには、古い角質が残っていてはうまく奥まで届きません。洗顔でしっかりと洗うことが大切です。洗いすぎはよくないのでお湯で洗うだけでよいという話をききますが、これでは古い角質が蓄積してダメージの原因になってしまいます。不要なものを洗い、必要なものを洗いすぎないようにするには、これから説明するポイントを押さえれば大丈夫です。

<洗顔のポイント>
・手はきれいに洗っておきます。手には雑菌がついていますので、洗浄効果を高めるためにも洗顔前にきれいにしておきましょう。

・お湯の温度は33℃~34℃程度のぬるま湯で洗いましょう。低すぎると毛穴が縮まって奥までよく洗えません。また、熱すぎると余分な皮脂まで洗い流してしまい、乾燥のもとになります。

・クレンジングも洗顔も、肌をこすらないことが大切です。こすることでダメージを与えて肌のキメが乱れる原因になります。洗顔料の種類によって泡タイプやクリームタイプがありますが、いずれもやさしく、汚れを浮かすつもりで洗いましょう。

・洗顔後、タオルは清潔なものをつかい、こすらないように水分をタオルに吸収させる気持ちで押さえながら拭きます。

<拭き取り化粧水を使ってみましょう>
拭き取り化粧水は、洗顔で洗い残した汚れや古い角質をとり、肌をやわらかくツヤツヤにしてくれるアイテムです。拭き取り化粧水を使うと、その後の化粧水がより浸み込みやすくなります。ただし、使い方を間違えると肌を痛めてしまいますので注意しましょう。拭き取り化粧水の使い方は、コットンにたっぷりと含ませて、軽く肌を滑らせます。「拭き取り」という名前から肌をゴシゴシこすりたくなりますが、決してこすってはいけません。その後は必ず化粧水を使いましょう。

コットンでつけるか手でつけるか

化粧水は、手でつけてもコットンでつけてもよいですが、それぞれにメリット・デメリットがあります。それを理解して、自分の好みで選びましょう。

コットンでつける場合のつけ方

コットンでつけるメリットは、手のように凹凸がないため、肌の細かい部分にまで均等に化粧水を行き届かせることができます。また、肌に浸み込みやすい化粧水は手にも浸み込みます。コットンならそのようなことがなく、肌にたっぷりと使うことができます。デメリットとしては、コットンの種類によって、繊維が肌につくなどダメージの原因になることがあります。また、手よりも小さいので、少し手間がかかります。

コットンでつける場合は、化粧水をコットンにたっぷりと含ませてください。水分が少ないとコットンの繊維が肌に触れてこすれてしまいますし、肌の水分がコットンに吸収されて逆効果になります。つけるときは軽くおさえるように顔全体にまんべんなくつけます。つけ残しがないように、順序を決めておくとよいでしょう。

手でつける場合のつけ方

手でつけるメリットは、手の体温で化粧水があたたまるので、肌馴染みやよくなります。また、肌の状態を確認しやすく、化粧水の量も調節しやすいです。デメリットは、手の雑菌がつく場合があります。化粧水が手に吸収されるのもデメリットといえますが、手も化粧水でしっとりするので、手にとってはメリットかもしれません。

手でつけるときは、コットンのように化粧水が吸収されないので、こぼれない程度の量を手にとって体温でなじませ、肌に入れ込むつもりで手で顔を覆い、軽くおさえるようにつけます。肌の状態を確認しながら、これを何度か繰り返します。

化粧水をつけるタイミング

タイミングは非常に重要です。洗顔後は肌の保湿成分が洗い流されているので乾燥しやすくなっています。特に入浴後は肌の温度が高くなっているのでより乾燥しやすい状態です。化粧水は洗顔後、一刻も早く塗ることが大切です。

化粧水の適量とは

適量はメーカーによって異なりますが、目安としては100円玉大~500円玉大の量です。肌の状態によっても異なってきます。肌に化粧水がしっかりと浸み込むと、手の平が吸い付くような感覚があります。乾燥を感じる場合は、何度も重ねて浸み込ませましょう。ただ、化粧水を肌に多量につけて浸み込むまで時間を置くのはNGです。肌に浸み込む量は限りがありますので、表面に残った水分は蒸発するだけです。
4-5.化粧水後にやっておきたいこと
化粧水だけでは肌の表面から水分が蒸発してしまいます。そこで大切なのが、皮脂膜の役割を果たす乳液やクリーム、そして美容成分を補う美容液を使いましょう。使う順番は、水分の多い物を先に、油分の多い物を最後にということを覚えておきましょう。乳液はクリームよりも水分が多く、皮膚になじみやすくなっています。美容液は種類によって形状はさまざまです。基本的には乳液だけでも十分ですが、冬の乾燥した時期には乳液の後にクリームも塗っておくとより保湿効果が期待できます。自分の肌の状態に合わせて使い分けましょう。

まとめ


肌のキメを整えるためには保湿が大切だということがおわかりいただけたでしょうか。年齢とともに肌は乾燥する傾向にありますので、よりいっそう保湿に力をいれていかなければなりません。肌の仕組みと化粧水の役割を知って、キメ細やかな美肌をめざしましょう。

ライタープロフィール
山川 ハナエ

主婦兼フリーライター/元看護師/三児の母。独身時代は給料の大半をエステと趣味のバレエに費やす美容オタク。働く女性と育児奮闘中の母の気持ちがよくわかる。趣味は読書、英語学習、舞台鑑賞。年を重ねても内面が輝く美しい女性に憧れている。