冬のエアコン暖房は温かくて快適だけれど、同時に気になるのが空気の乾燥。肌や髪がパサつくのはもちろん、鼻や喉が痛くなって風邪の原因になるのも悩みの種ですよね。そこで今回はエアコン暖房による乾燥対策として、加湿器のタイプ別特性と、加湿効果を発揮させるための使用方法についてご紹介します。

暖房で乾燥した部屋は危険がいっぱい

暖房で空気が乾燥するしくみ

暖房をつけると風や熱で空気中の水分が蒸発して乾燥してしまう。そんなイメージがありますが、実際のところは暖房をつけた部屋の空気に含まれる水分量は変わりません。つまり空気1kgあたりに水分量が500g含まれていたとしたら、室温が10度であろうと25度であろうと水分量は500gのまま。

ただし、空気が含むことが出来る水分の最大量、飽和水蒸気量は気温によって変わり、空気は温度が高くなる程多くの水分を含むことができます。つまり、気温によって湿度100%となる水分量が変わるのです。これを相対湿度と言います。
加湿機能がついていない暖房は空気を温めて気温を上げることはできますが、空気中の水分量を上げることができません。ですから気温の上昇に従って相対湿度が下がり、空気の乾燥が起きるのです。

また相対湿度が下がると人間の体は自動的に乾燥しやすくなる性質を持っています。さらに暖房の温かい風を直接体に受けることで髪や体が乾燥してしまうというわけです。

空気が乾燥するデメリット

暖房の使用によって湿度が下がり、空気が乾燥すると人間の体も乾燥しやすくなります。もちろん皮膚だけではなく、喉や鼻の粘膜も乾燥します。粘膜は乾燥すると風邪やインフルエンザといったウィルスや病原菌に対する防御機能が低下してしまうため、ウィルスに感染しやすくなってしまうのです。冬場に風邪やインフルエンザが流行するのは空気の乾燥が大きな要因と言えるでしょう。
空気の乾燥は体調に影響を及ぼすとともに、髪や肌の乾燥など、美容にもマイナスにはたらきます。

特に髪の水分量は周囲の湿度に影響されやすいため、空気が乾燥することでパサツキや軋みが現れたり、広がってまとまりづらくなることも。
また肌の水分量が10%を下回ると乾燥肌の状態になり、肌あれやひび割れ、かゆみなどの症状が起こる原因となります。
そのほかにも体内の水分が蒸発して脱水症状を起こしやすくなったり火災が起きやすくなったりと、空気の乾燥が引き起こすデメリットは決して小さくはありません。

乾燥と風邪やインフルエンザとの関係

空気が乾燥すると免疫力が下がり、風邪やインフルエンザに感染しやすくなることは先ほど述べた通りですが、ウィルス自体も湿度によって活動に変化が現れます。
ウィルスは比較的乾燥に強く、特にインフルエンザウィルスは寒冷乾燥を好み、高温多湿に弱いことが知られています。また、温度20度以上、湿度50~60%になると空気中での感染力が下がることも研究により明らかになっています。
ですから冬にインフルエンザや風邪への感染を防ぐ方法として、暖房で空気が乾燥した室内では加湿器などを利用し、湿度を適正に保つことが大事です。

暖房を使う時には乾燥対策もセットで行う

適正な湿度とは

日常生活を送る上での適正湿度は40~60%です。気温が上がると乾燥しやすくなりますので、温度と湿度をセットで管理しましょう。
体感だけで適正湿度を判断することは難しいですが、市販の温湿度計を上手に利用することで空調管理がしやすくなります。

エアコンや暖房を使用する際は乾燥対策の加湿を

エアコン暖房を使う際は加湿器とセットで使用すると、空気の乾燥を防ぎながら湿度を保ちやすくなります。
もし加湿器を持っていない場合でも、暖房を使う際は乾燥対策とセットで行うように心がけましょう。
お肌や髪などの美容、風邪やインフルエンザなどの健康の両面から、部屋の湿度を保つことが大切です。

乾燥を防ぐためのその他の方法

もちろんその加湿器以外の方法でも乾燥対策はできます。

  • エアコン暖房を使用する部屋に洗濯物を干す
  • マスクを着用して顔周りや鼻喉の粘膜の乾燥を防ぐ
  • 風呂場の戸を開け放しておく
  • 鍋やポットなどでお湯を沸かして湯気を発生させる
  • フローリング床を水拭きする

などがあります。ただし加湿の効果や部屋の景観的な問題を考えると、エアコン暖房の乾燥防止にはやはり加湿器を用いるのがおすすめです。

結露に注意

エアコン暖房による空気の乾燥には加湿が有効ですが、注意しなければならないのが結露の問題。
湿度が高すぎると部屋と屋外の気温差によって窓や壁に結露が起こります。
結露はシミやカビ、ダニの発生原因となり、また建築材料を痛めてしまうため、建物の寿命を縮めます。
カビやダニは湿度70%程度から繁殖が盛んになりますので、湿度が高くなりすぎないように気を付けましょう。
結露対策に最も効果があるのは換気です。昼間など、できるときにこまめに換気しましょう。また、寝るときには雨戸などを占めて外の冷気をシャットアウトすれば暖房効果も上がって一石二鳥。暖房の設定温度を上げすぎないこともポイントです。
もしも結露ができてしまったら、早いうちに水滴をふき取りましょう。アルコール除菌スプレーやシートを使ってふき取るのも効果的。また、市販の結露ワイパーなどもおすすめです。

加湿器4タイプの特徴とメリット・デメリット

蒸気式

蒸気式の加湿器はお湯を沸かすと蒸気が出るのと同様の原理で加湿を行います。
加湿器の中の水をヒーターなどで熱し、その蒸気を空気中に噴出させます。
メリットは何よりも加湿のパワーが強いこと。また蒸気の熱が出るため部屋の温度が下がりません。水を加熱するため煮沸消毒していることにもなり、水中の殺菌効果も。そのため他のタイプの加湿器と比べてお手入れが楽です。
デメリットは消費電力が高いため電気代が高くなること。また、加湿器の吹き出し口が熱くなったり、熱い蒸気が噴き出すのでやけどに注意が必要です。

気化式

ヒーターレス式とも呼ばれる気化式加湿器は、フィルターなどに含ませた水にファンなどで風を当てて気化させることで加湿を行うというもの。洗濯物や濡れタオルを部屋干しするのと同じような原理です。
メリットは熱を用いない加湿方法なのでやけどの心配がいらないこと。小さい子供やペットがいる家では重宝しますね。消費電力も少ないため電気代を気にする人にもおすすめです。また、加湿をしすぎることがないため結露の心配もありません。
デメリットは、気化式は水分が蒸発するときに熱を奪うため、室温が下がることがあるということ。またフィルターに雑菌が繁殖しやすいのでこまめに手入れをする必要があります。

ハイブリッド式

蒸気式と気化式の機能を兼ね備えたのがハイブリッド式で、水を含んだフィルターに温風を当てることで加湿を行います。
メリットは高性能なため加湿のスピードが速いことと、安全性が高いこと。部屋の加湿状態によって運転を切り替えるなど、省エネ対策にも一役買っています。
デメリットは加湿器本体の価格がやや高めなことです。また、気化式と同様のこまめなお手入れが必要で、電気代も気化式や超音波式に比べると大幅にかかります。

水噴霧式

常温の水を超音波で振動させ微粒子型に霧化させてからファンで空気中に拡散するのが水噴霧式。超音波式とも呼ばれます。霧吹きを吹いたように加湿を行います。
メリットは装置が小さいため、デスク上におけるような小型の商品もあります。インテリアとしてのデザイン性に富んだものが多いのもこのタイプです。
また消費電力が低いため電気代もかかりません。
デメリットは水中に含まれる不純物が空気中に飛散すること。
容器に水を入れたままにするためカビや雑菌が繁殖しやすく、菌を部屋にまき散らす危険性があるためこまめに手入れをする必要があります。

加湿器を効果的に使用するためのポイント

設置場所

・床から30㎝以上の高さに置く
冷たい空気は下、すなわち床付近に溜まる性質があります。また気温が低い部分は飽和水蒸気量も低いため結露しやすくなるので、せっかく加湿を行っても部屋全体にまで拡散ができません。

・部屋の中央に置く
加湿器を窓や壁の近くに設置すると結露が起きやすくなります。エアコン暖房から噴き出した乾燥した温風に水蒸気を溶かし、空間に拡散させるためにも加湿器は部屋の中央に置くようにしましょう。

・エアコンの吸込み口に入る空気を利用できる場所に置く
エアコンの吸込み口に入る空気を利用するのも手です。エアコン暖房は吸い込んだ室内の空気を温めてから再び部屋全体に拡散するように設計されています。
この構造を利用し、エアコンの吸込み口近くに加湿器を置けば、加湿した空気を効率よく部屋全体にいきわたらせることができます。
ちなみにエアコンの温風吹き出し口近くに加湿器を設置してしまうと、加湿器の湿度センサーに狂いが出る可能性があるので気を付けましょう。

・換気扇や出入り口の近くには置かない
加湿された空気を部屋中に拡散させる目的で加湿器を使うため、換気扇や出入り口付近に加湿器を設置すると逆効果になってしまいます。

・サーキュレーターを併用して空気を循環させる
より効率よく加湿した空気をいきわたらせ、暖房の乾燥対策効果を高めるためにサーキュレーターを使用するのも有効です。
加湿されて水蒸気を含んだ空気は質量が重いので下に沈みがち。また暖房で温められた空気は上に溜まりやすいので、サーキュレーターや扇風機を使って空気を循環させると温かく湿度が保たれた空気が部屋全体にいきわたります。

メンテナンス

いずれのタイプの加湿器を使うにせよ、定期的なメンテナンスを行いましょう。特に給水タンクの水はこまめに変えるのが良いでしょう。
給水タンクに水を入れたままにしておくと雑菌が繁殖したり水垢が付着したりします。汚れた水で加湿を行うと加湿器病になる危険性も。

加湿器病とは加湿器の中で繁殖したカビやばい菌を吸い込んだことで起こるアレルギー性の肺炎や喘息です。重症化すると治療が必要になるため、特に新生児や高齢者がいる家庭では注意が必要です。

加湿器を何日か使用しない場合には給水タンクの水を入れ替えましょう。給水タンクに水をつぎ足しながら使うのも良くありません。
また、フィルターを使う加湿器の場合はフィルターの掃除を定期的に行いましょう。

フィルターには水に含まれるミネラルや不純物が付着しているので、メンテナンスを怠ると加湿能力が落ちてしまいます。フィルターには雑菌も繁殖しやすいため、効率よく湿度を上げながら衛生を保つためにもお手入れは欠かせません。
またこれら給水タンクの水の交換とフィルター掃除で、加湿器病を防ぐことが可能です。

就寝時の使用について

寝ている間の乾燥対策も気になりますが、もし就寝時にエアコン暖房の電源をOFFにしているのであれば、加湿器の電源も同時OFFにした方が良いでしょう。
暖房器具の電源が切れると部屋の空気が徐々に冷え、飽和水蒸気量が下がります。
この時に加湿器をつけたままにしておくと、空気の中に溶けられなくなった水分が壁や窓で結露となります。結露をそのままにしておくとカビやダニが発生してしまいますので、適度な湿度を保つことを心がけましょう。
もし加湿器をつけたまま眠るときにはタイマーがついた加湿器を使ったり、タイマーがついたコンセントプラグを使用して、一定の時間が経ったら電源がOFFになるように設定しましょう。

加湿器を上手に活用してエアコン暖房による乾燥を防ぎましょう

エアコンで温められた室内は快適ですが、暖房効果が高まると空気の乾燥も進むため対策が欠かせません。
インフルエンザや風邪のウィルスへの感染を防ぐ役割もありますので、暖房を使用する際には加湿器もセットで使いたいものです。
加湿器は水を熱して蒸気に変えるタイプや気化させるタイプ、その両方を併せ持つハイブリッドタイプ、水をミスト状にして噴霧させるタイプなどさまざまなものがあります。生活のスタイルや好みに応じて加湿器を選ぶと良いですね。
また設置場所も加湿器の加湿効果を左右します。過度に加湿しすぎたり、加湿不足にならないよう工夫しながら、快適な室内空間を演出してくださいね。

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