同じように水仕事をしている人でも、手がガサガサの人としっとりの人がいます。その違いはなんでしょうか?しっとりの人はさぞ入念に手入れをしているのだろうと思いがちですが、実は、皮膚の乾燥は身近な行動が原因かもしれません。

もちろん、保湿をはじめとした手入れも大切ですが、それ以外にも大切なポイントがあります。乾燥に強い肌を作る方法をご紹介しましょう。

皮膚が乾燥しやすい人としにくい人の違い

冬になって空気が乾燥するようになると、皮膚も乾燥するのは当たり前だと思っていませんか?確かに湿度が下がると乾燥しやすくなるのですが、誰もが粉ふき肌や肌荒れになるわけではありません。その違いをみてみましょう。

乾燥しやすい人の特徴

皮膚は本来、体を守るためのバリア機能を備えています。それは、肌表面にある角質層の細胞間脂質(セラミド)と天然保湿因子(NMF)の水分保持機能に加えて、皮膚の表面を覆う皮脂膜の働きです。これらのバリア機能を作る成分は、年齢とともに減少していきます。そのうえ、様々な要因で皮膚が乾燥しやすい状態を作っているのです。

では、皮膚が乾燥しやすい人の特徴を挙げてみましょう。

・女性
・40代以上
・アレルギー体質
・ストレスが多い
・睡眠不足
・立ちっぱなしや座りっぱなしが多い
・冷えやすい
・水分をあまりとらない
・お風呂は熱めが好き

これらのことがあてはまる場合、乾燥しやすい皮膚だということが言えるでしょう。

女性の方が乾燥しやすいのは、ホルモンの関係で男性に比べて皮脂量が少ないからです。また、年齢とともに体の水分量は減っていくのですが、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌も30代後半から徐々に減少していきます。エストロゲンは水分を保持する役割を持つコラーゲンの生成を助けるホルモンです。40代を過ぎると閉経に向けて女性ホルモンは急激に減少し、皮膚が乾燥しやすくなるのです。肌の新陳代謝を行う成長ホルモンも減少します。

乾燥してかゆみがでるのはなぜ?

皮膚の表面にあるバリア機能は、水分と脂質で守られていますが、乾燥するとバリア機能の働きが衰えます。その結果、外部からの刺激が肌の奥へと伝わり、かゆみとして現れます。

<かゆみのメカニズム>
角層の下には表皮と真皮がありますが、真皮の中に「かゆみ」を起こす細胞が備わっています。その細胞の中にはヒスタミンが蓄えられており、細胞が刺激を受けるとヒスタミンが分泌されてかゆみを感じる神経を刺激します。

かゆみが起こりやすい人の皮膚

かゆみが起こりやすい人というのは、皮膚の表面がカサついていて、角層に傷や隙間がある状態になっています。

皮膚が適度に水分と油分を含んでいると、肌の表面はラップのように皮脂膜でカバーされているので、外部からの刺激を跳ね返します。皮膚が乾燥すると、ラップが剥がれ、その隙間から皮膚の中に刺激となる物質が入り込むのです。

乾燥を放置すると?

皮膚の乾燥はさまざまなトラブルの原因になります。女性にとって困るのが、シミ、シワができやすくなること。これは、乾燥による皮膚機能の低下で、ハリや弾力を保つ役割をするコラーゲンの生成がうまくいかなくなるためです。

美容の問題以上に深刻なのが、皮膚トラブルです。アレルギーの原因になる物質が皮膚に触れると、バリア機能の失った皮膚は過剰に反応し、皮膚炎やじんましんが起こりやすくなります。強いかゆみが現れれば、掻きむしりたくなりますね。掻くとさらにかゆみが強くなり、皮膚を傷つけてしまうという悪循環に陥ります。

乾燥しにくい強い皮膚を作る3つの方法

皮膚の乾燥は美容にとっても健康にとってもよくないことです。しかし、空気の乾燥と加齢による乾燥は自力では解決できない問題です。ですから、乾燥しにくい強い肌を作ればよいのです。その方法をご紹介しましょう。

入浴や洗顔を見直す

乾燥しやすい人は、入浴や洗顔によって皮膚の乾燥を助けている可能性があります。乾燥しにくい入浴と洗顔のポイントをおさえておきましょう。

熱すぎるお湯は避ける

熱いお湯で体を洗うと、必要な皮脂まで洗い流されてしまいます。また、熱いお湯で皮膚が刺激を受け、かゆみがでやすくなります。お湯でふやけた皮膚を掻いてしまうと、よりダメージを受けて皮膚の表面が炎症を起こします。さらに、ふやけた角層の隙間から、内部の保湿成分が浸みだして皮膚が乾燥する原因になります。お湯につかる時間が長ければ、それだけ保湿成分が失われてしまうのです。
お風呂のお湯は40度以下にし、お湯につかる時間は10分程度にとどめるのがよいでしょう。寒い場合は浴室全体をあたためて対処します。

刺激を避ける

体を洗うときにゴシゴシ洗うと、皮膚が刺激を受け、乾燥しやすくなります。体を洗うときは、柔らかいタオルや手でボディーソープを泡立てて、やさしく洗いましょう。顔を洗うときも同様です。洗浄剤は刺激の少ないものを選ぶのも大切です。
入浴後に体を拭くときも刺激を与えやすいので、柔らかく水分吸収力が高いタオルをつかい、やさしくおさえるように拭きましょう。

入浴・洗顔後はすみやかに保湿する

体を洗ったあとは、皮膚表面の汚れと同時に皮脂も取り去られており、無防備な状態です。バリア機能の失った皮膚は、外部からの刺激を受けやすいと同時に、皮膚の中にある水分を失いやすい状態なのです。できるだけ早く、全身の保湿を行いましょう。

血行をよくする

体が冷えやすい人は、全身の血行が悪くなっていることが多いのです。血行が悪いと、皮膚の細胞のすみずみまで皮膚の新陳代謝に必要な酸素や栄養が行き届きません。その結果、皮膚機能が低下し、保湿成分が十分に作られなくなります。血行をよくするポイントをみてみましょう。

体を温める

体が冷えると、血管が縮まり、血液の流れが悪くなります。そのため、血行をよくするには、体を温めるのが効果的です。ポイントは、外側からだけでなく、内側からも温めることです。以下に具体的に挙げましたので参考にしてください。

・水分補給は温かいものをとる
冷たい飲み物は体を冷やします。温かいといってもコーヒーは体を冷やすのでほどほどに。温かい紅茶、ウーロン茶、ココア、ショウガ湯は体を温めます。

・体を温める食品を食事に取り入れる
大根やレンコン、カボチャ、ゴボウなど冬が旬の野菜や根菜類は体を温めます。他にも、納豆や味噌、キムチなどの発酵食品も体を温める食品です。

・首、手首、足首を温める
いわゆる3つの「首」は皮膚が薄く、体温が逃げやすいところです。首元の開いた服は体が冷えやすくなるので、タートルネックにしたり、マフラーを巻いたりして、首元の露出を避けましょう。手首、足首には、ネックウォーマー同様に、足首ウォーマー、手首ウォーマーといった製品で保温しましょう。絞めつけて血流が悪くならないように気を付けましょう。

適度に動く

長時間の立ちっぱなし、座りっぱなしでは、血流が滞ります。最低でも1時間に1回は体勢を変えましょう。座り仕事の場合は、立ち上がって伸びをするとよいでしょう。立ち仕事の場合は、屈伸をしたり足首を動かしたりして血流を心臓に戻すことを意識しましょう。

仕事以外では、適度な運動を行いましょう。全身のストレッチに加えて、心拍が少しあがる程度の運動が効果的です。目安としては、心拍が100~120程度、会話しながらできる程度の運動です。10分でもよいので、日々の生活に取り入れましょう。

ふくらはぎマッサージ

全身の血行をよくするには、ふくらはぎのマッサージが効果的です。血流を心臓に戻すイメージでマッサージしましょう。
やり方は、足首を両手で持ち、くるぶし、アキレス腱、ふくらはぎ、膝の順に揉んでいくだけです。マッサージの前には入浴やストレッチで体を温めておくと効果的です。

効果的な保湿を行う

皮膚が乾燥しているからと、毎日たっぷりクリームを塗っても改善しないのはなぜでしょうか?肌の奥が乾燥していれば、クリームのような油分だけを補給してもあまり効果がありません。効果的な保湿方法をみていきましょう。

水分と油分を補充する

皮膚の表面には油分である皮脂がありますが、それは皮膚の奥にある水分を蒸発させないようにするためです。そのため、皮膚の奥の水分が少ない状態で油分だけを与えても、皮膚の乾燥は根本的に改善しないのです。

皮膚を保湿するためには、入浴後や洗顔後には、はじめに化粧水などで水分を補いましょう。できるだけたっぷりと補うことが大切です。皮膚が乾燥していれば、吸収がよくなっていますので、吸収されるだけ入れ込みましょう。その後に乳液やクリームで蓋をします。顔の皮膚だけでなく、体の皮膚にも、乾燥している場合は化粧水を使うと効果的です。

角質を取り除く

乾燥がひどくなり、刺激を多く受けると角質が厚くなります。かかとや肘、膝に多い状態ですね。角質が厚くなると、外から水分を入れ込んでも皮膚の奥まで届きません。ただ、角質を取り除くといっても、ピーリング剤や軽石でこするといった方法は、皮膚を傷つけるおそれがあります。

角質は一度に取ってしまおうと思わずに、保湿することでこまめに取り除きましょう。具体的には、お風呂上りの柔らかくなった状態のときに、角質を柔らかくする効果のある尿素配合のクリームを塗ってマッサージするのがおすすめです。ただし、あかぎれなど皮膚の炎症がある場合や、顔への使用は控えましょう。日々のこまめなケアを続けて、角質が厚くなるのを防ぐことが先決です。

保湿成分を肌の奥まで届ける

平らなお皿に入れた水と、細長いコップに入れた水、同じ量の水だとしても、どちらが先に蒸発してなくなるのかはわかりますよね。皮膚も同じことで、肌の表面だけ保湿したとしても、乾燥する環境にいれば、すぐに蒸発してしまいます。肌の奥まで保湿成分を届けることが、乾燥に強い肌を作るポイントです。

肌の保湿成分であるコラーゲンとセラミドは保湿に効果的ですが、主に肌表面の角質層に働く保湿成分です。そこで、肌の奥にある基底層まで保湿成分を届けられる「ヘパリン類似物質」が注目されています。弱った細胞に働きかけて、肌の内部から乾燥を改善する効果が期待できます。その他に、ヒアルロン酸も水分保持能力が高く、基底層近くまで保湿成分を届けることができます。これらの保湿成分に注目して、保湿化粧品を選びましょう。

皮膚が乾燥して「かゆみ」があるときの対策

皮膚を守るためには、掻かないことが一番です。かゆみが強い場合はどうすればよいのでしょうか?その対策をお伝えします。

冷やす

かゆみがある場合は、皮膚に炎症が起こっている証拠です。掻かずに冷やすことで症状がおさまります。保冷剤をタオルにくるんだものや、冷たい水で濡らしたタオルをあてるとよいでしょう。

市販薬を塗る

乾燥してかゆみがある場合は、グリセリンやセラミドなどの保湿成分が入っているかゆみ止めを塗るとよいでしょう。塗る時はこすりつけずに、指の腹でやさしく塗ります。すりこまなくても、薬の成分は自然に皮膚に吸収されます。

医師にかかる

市販薬を使ってもかゆみがおさまらない、強いかゆみで我慢できないときは、早めに医師にかかりましょう。湿疹など肌に異常がある場合も、皮膚科で診てもらうと効果的な薬が処方されます。かゆみは我慢せずに、早めに対処することが強い皮膚を作る秘訣です。

皮膚の乾燥は早めに対処して強い肌を作りましょう

皮膚の奥まで十分な水分を蓄えておくと、乾燥した環境でも皮膚の保湿力が保たれます。強い肌は普段の何気ない習慣を見直すことで作ることができます。乾燥に強い肌は美しい肌でもあります。加齢に負けない美しい肌をめざしましょう。

ライタープロフィール
山川 ハナエ

主婦兼フリーライター/元看護師/三児の母。独身時代は給料の大半をエステと趣味のバレエに費やす美容オタク。働く女性と育児奮闘中の母の気持ちがよくわかる。趣味は読書、英語学習、舞台鑑賞。年を重ねても内面が輝く美しい女性に憧れている。