首のしわがなかなか消えないという理由を探ると、健康体と深く関わっていることが判明しました。健やかで美しい肌は、免疫力が高く、新陳代謝の良い体から丈夫な肌細胞が作られます。しかも首周りには代謝に大事な細胞が存在していることをご存知ですか?

スッキリ艶やかな首元を目指すなら、保湿と同時に、肌内部からアプローチすることが重要です。早速、改善方法についてご紹介します。

健やかな肌に大事な免疫について

免疫力とは(自律神経:交感神経と副交感神経)

 人の体は、外からの異物や細菌、ウイルスなどの有害物質の侵入に晒されています。そのため、体には、これらの有害物質と戦い、排除する機能が備わっています。これが免疫と呼ばれるシステムです。免疫とは体を健康に保つ力なのです。

 この免疫の力、免疫力は、自律神経の影響を大きく受けています。自律神経とは、臓器や筋肉など、体のさまざまな器官をコントロールしている神経です。活動するときに働く交感神経と、休んでいるときに働く副交感神経の2つを合わせて自律神経と言います。

活動するとき、交感神経が心臓を活発に動かし、血圧や血糖を上げ、血管を収縮するなどの働きをしてくれるので、体を活発に動かすことができます。また、休むときは、副交感神経が胃酸の分泌を増やし、腸の活動を活発にして食べたものの消化を促し、心拍数を抑えるなどしてくれるので、体はリラックスして回復に専念することができるのです。

こんな交感神経と副交感神経ですが、強いストレスなどを受けると、交感神経の働きが活発になります。

これが一時的ならいつもの働きなのですが、ストレスを受け続けると、本来なら副交感神経が働くときも交感神経が優位になってしまいます。こうして自律神経のバランスが崩れていくと、体が疲れてしまい、免疫力が低下してしまいます。疲れると風邪をひきやすい、というようなことが起こるのです。

免疫と肌

 肌は体の一番外側にあり、あらゆる異物や有害物質に晒されています。肌の有害物質防御システム、つまり免疫は、ランゲルハンス細胞という免疫細胞によって守られています。

ランゲルハンス細胞は、表皮を自由に動き回って肌に異常がないかを見守っています、異物や有害物質の侵入を感知すると脳に伝え、免疫システムを作動させて、肌の状態を正常に戻してくれます。

このランゲルハンス細胞も、自律神経のバランスが崩れると働きが弱くなります。また、肌に紫外線や乾燥、肌に合わない化粧品成分などの負荷がかかることも、肌の免疫力が低下する原因になります。

その結果、肌の水分量が低下する乾燥肌や、小さな刺激にも反応してしまう敏感肌、シミやしわ、吹き出物などが起こります。

免疫力低下の原因


●加齢
 人の免疫力のピークは20代で、40代以降は急速に低下してしまいます。これは、免疫細胞を作る胸腺や脾臓といった臓器が、加齢の影響を受けやすく、委縮してしまうことにあります。また、有害物質と戦う免疫細胞そのものが衰えてしまうため、侵入してきた有害物質に負けてしまい、病気や肌トラブルが起きやすくなるのです。

●過度のストレス・疲れ
 ストレスというと、精神的な悩みや心配事を思い浮かべますが、実際は肉体疲労や空腹、睡眠不足や気温の差などの物理的な事柄もストレスに含まれます。これらのストレスが強く継続すると、対応する自律神経のバランスが崩れてしまいます。体全体をコントロールしている自律神経のバランスが崩れると、免疫も正常に働かなくなってしまいます。

●偏った食事
 人の免疫細胞の70%が腸にあります。腸は食べたものを消化するところです。食事のとり方で腸の免疫細胞を増やすことも減らすことも、活性化することも疲れさせることもできるのです。では、どんな食事が腸の免疫を低下させるのでしょうか。

 栄養バランスの偏った食事は、腸内の菌バランスを崩して、悪玉菌を増やしてしまいます。腸の消化に負担をかける動物性たんぱく質や脂質のとり過ぎ、野菜などに含まれるビタミンの不足が多く見られます。また、水分不足も腸が活動しにくくなる原因の1つです。

●睡眠不足
 睡眠不足は自律神経のバランスを崩しますので、免疫力を低下させます。また、睡眠不足は疲労回復を妨げますので、体が疲れたままとなり、免疫細胞が活発に働けなくなります。

●運動不足
 運動不足は全身の血流を悪くします。免疫細胞は血管内を移動するものも多く、血流が悪いと働きが悪くなります。また、血液は全身の細胞に栄養と酸素を送り届ける役目ですので、血流が悪いと免疫細胞に栄養と酸素が届きにくくなるため、やはり、免疫力が落ちてしまいます。運動のし過ぎは疲労を招き、免疫力を低下させますが、適度な運動は免疫力を上げてくれます。

首の老化現象の特徴


●しわ
 首の肌はとても薄く、顔の肌の2/3程度です。肌が薄いと肌に貯めておける水分の量も少なく、加齢に伴ってコラーゲンなど肌の弾力を保っている組織が減ると、しわになりやすいのです。また、首は顔の次に紫外線に晒されている部位で、さらに日焼け止めを塗り忘れることも多い部位です。紫外線には、肌の奥の真皮まで届いてコラーゲンなどを破壊するものがあり、長年紫外線に晒されていると、肌の弾力が失われやすくなり、しわができてしまいます。

●たるみ
 全身の筋肉は加齢とともに衰え、筋力を落としますが、首も例外ではありません。首には表情筋などの筋肉があり、加齢とともにたるみやすくなります。また、首は姿勢によってしわを作りやすい部位です。下向きの姿勢が多い、枕が高すぎるなどの原因があると、たるんだ肌が形状記憶となってしまい、取れないしわができてしまいます。

首まわりの細胞の役割

褐色脂肪細胞とは

 人の脂肪細胞は2種類あり、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞に分かれています。白色脂肪細胞は一般に言う脂肪のことで、体中にありますが、褐色脂肪細胞は首や脇の下、肩甲骨の周りや心臓、腎臓にしかありません。褐色脂肪細胞は鉄分とミトコンドリアを多く含んでおり、褐色をしています。

また、褐色脂肪細胞は生まれたときは100gありますが、成人では40gと減っていきます。脂肪細胞ならば減ってくれた方が嬉しいと考えてしまいそうですが、褐色脂肪細胞は多い方が嬉しい脂肪です。その理由は褐色脂肪細胞の働きにあります。

褐色脂肪細胞の働き

 白色脂肪細胞は、食べ物などで取り込んだカロリーの余剰分を中性脂肪としてため込む役目があります。対して褐色脂肪細胞には、余剰分のカロリーを熱に変換して体外に放出する役目があるのです。この褐色脂肪細胞が活発に働くと体温が上がり、基礎代謝が増え、脂肪が燃焼されます。

食事や呼吸で取り込んだ栄養は、体を動かすためのエネルギーに変換され消費されます。この流れを代謝と言います。また、代謝は、何も活動しなくても体を維持するために行われる「基礎代謝」と、活動することで行われる「生活活動代謝」に分けられます。その比率は基礎代謝が7割、生活活動代謝が3割と、圧倒的に基礎代謝が占めています。

さて、体温が1度上がると、基礎代謝はどのくらい増えるのでしょうか。これは13~15%が答えです。さらに、体温は免疫力にも影響します。体温が1度下がると免疫力は30%下がり、1度上がると5~6倍にもなるのです。この体温を決めているのが褐色脂肪細胞です。こんな有益な褐色脂肪細胞には、大いに活発に働いてほしいものですね。

褐色脂肪細胞を活性化させるには

有益な褐色脂肪細胞を活性化して体温を上げる方法はいくつかあります。

  • 冷たい水(18℃以下)で泳ぐ。低温の刺激が効果的です。
  • 冷たいシャワーを浴びる。
  • 昼と夜のメリハリをはっきりつける。昼間は体をしっかり動かし、夜は早めに寝て充分な睡眠をとりましょう。
  • 褐色脂肪細胞がついている部位を動かす。首や肩甲骨の周りのストレッチなどが効果的です。

できることを取り入れて、体温アップ、基礎代謝アップ、加えて免疫力も上げてしまいましょう。

免疫力を上げる手短な方法

自律神経のバランスを整える

 自律神経は免疫力に大きく影響します。自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが整うと免疫力が上がり、バランスが崩れると免疫力は低下します。詳しく言うと、交感神経が働いている活動中は免疫力が低下し、回復の副交感神経が働いているときは免疫力が上がります。活動と回復のバランスが大切なのですね。

精神的あるいは肉体的なストレスが強くかかり続けると、交感神経が働き続けることになります。交感神経は血管を収縮させるため、継続して血管が収縮すると血流が悪化し、体温が下がります。体温が1度下がると免疫力は30%下がるのでしたね。

逆に副交感神経が働き続けると、免疫力が上がるので、よいことだと考えがちですが、免疫力が上がり過ぎると起こる不都合にアレルギーがあります。免疫システムが過敏になって、自分の体を攻撃してしまう状態です。

副交感神経が働き続けるとは、どのような状態なのでしょうか。これは、昼でもごろごろするような怠けた生活や、運動不足、肥満などを指します。

このような生活を続けていると免疫力が過敏に反応するようになり、アレルギー症状が起こることがあります。交感神経と副交感神経のどちらもしっかり働くように、生活のメリハリをつけることが大切です。

実践方法

 自律神経のバランスを整えて、免疫力を上げるために大切なことがいくつかあります。

●呼吸
 休息と回復のための副交感神経は、年齢とともに働きが低下することがわかっています。交感神経は年齢の影響は受けませんので、低下していく副交感神経の活発化を促せる方法はないものでしょうか。これは、深い呼吸、吐くときを意識した呼吸で、改善することができます。

緊張したときや運動しているときに呼吸が浅く早くなることからわかるように、浅く早い呼吸は活動時の交感神経を刺激します。逆に深くゆっくりとした呼吸は副交感神経を働かせてくれます。特に呼吸の吐くときに、副交感神経の働きが高まることがわかっています。これらの条件を満たしてくれるのが「腹式呼吸」です。

腹式呼吸は、吸う空気でおなかが膨らみ、吐くときにおなかがへこみます。おなかの中では横隔膜が大きく動いて空気の入る場所を作っています。普段は胸式呼吸で、吸うときにおなかが膨らみ、吐くときにへこんでいる人が多いものですが、寝ているときは、だれもが腹式呼吸であることからも、腹式呼吸が副交感神経と深く関わっていることがわかります。

腹式呼吸を意識して行うと、脳がリラックスしますので、ストレス対策としても有効です。寝る前に数分行うと、寝つきと睡眠の質の改善も期待できます。ぜひ取り入れてみてください。

●入浴
 体温が1度下がると免疫力の約30%が失われると先に述べました。ですので、入浴で体をしっかり温めることはとても大切です。血流も改善されて、全身への栄養や酸素の供給が良くなることと、免疫細胞の働きも活発になります。また、入浴によってリラックスし、寝つきや睡眠の質が良くなり、自律神経の働きのメリハリをしっかりつけることができます。

●食事(栄養)
 風邪をひいたらビタミンを摂りましょう、とよく聞くように、免疫力には食生活が大きく影響します。例えばビタミンは有害物質を攻撃する白血球の働きを良くします。

逆に、動物性たんぱく質のとり過ぎは消化器に負担をかけますので、腸内環境を悪化させて悪玉菌を増やし、免疫に負担がかかってしまい、結果として免疫力が低下します。高カロリーや高脂質の食事は、血管を詰まりやすくしますので、血管内を移動して働く免疫細胞が働きにくくなってしまいますので避けましょう。

食事全体の五大栄養素、タンパク質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルのバランスと量も充分にとることが大切です。現代の食生活で不足しがちな栄養の筆頭はビタミンです。ビタミンは野菜からとることができますので、自分の体格や年齢に必要な量を、一度見直してみると良いでしょう。

肌表面のケアは必須


 ここまで、肌の内側、体の中で起こっている免疫の働きを中心に見てきました。免疫力アップは肌の改善に大きく影響しますので、気を付けていきたいところですが、肌への直接のケアももちろん大切です。肌の中からと外から、両方から首のしわに対策をしていけば、きっと改善されていくことでしょう。

化粧水

洗顔で落とし過ぎた水分を補う、または洗顔でアルカリ性へ傾いてしまった肌を酸性に戻す役割が、化粧水にはあります。洗顔後の肌のケアで最初のステップです。このあとのケアをするために、肌を整えてあげましょう。

クリーム

 化粧水で補った水分を、油分の多いクリームで閉じ込めます。

目元のしわ専用美容液

 首の肌と目元の肌は、どちらも同じくらいの薄さです。ですので、目元のしわに効果のある美容液は、首のしわにも効果があります。高い保湿効果で乾燥を防ぎ、プラスアルファのエイジングケア成分が配合されているものがおすすめです。

まとめ

 首のしわを改善するために、体の内側から改善すると効果のある免疫力にフォーカスしてみました。免疫力は、代謝や自律神経に大きく影響されます。免疫力は、加齢やストレス、食事や体温など、さまざまな原因で低下していきます。

これをアップするためには、自律神経のバランスを整えることが大切です。呼吸と入浴、食事の少しずつ改善してみませんか?

最後に、やはり肌への直接のケアも欠かせません。自分の肌に合った化粧品とケアの方法で、若々しい首元を目指しましょう。

ライタープロフィール
麓 加誉子

健康や美容、医療情報を中心に書いております。生活の中で生まれるちょっとした疑問に、正しい情報で応えたい。読んでくださる方が「あーそういうことか!」と腑に落ちる情報を、分かりやすく読みやすくお届けしたいと思います。